歩行時のホワイトノイズが軽度認知症高齢者の歩行時間、状態不安、転倒恐怖症に及ぼす影響とは?

論文情報

この投稿は、~兵庫自費訪問リハビリ整体リ・サンテ宝塚~』が脳卒中や骨折、人工骨頭の手術後のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防に興味がある方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればなと思っています。

超高齢社会を迎える日本では、高齢者の増加により『認知症』や『骨折』、『心疾患』と言った病気を患っても保険料域内では十分なサービスを受けることが難しくなる可能性があります。

この中で認知症は運動障害を伴い、上肢・下肢の筋力低下、 転倒の増加など、機能の身体的要素の減少がみられ生活の自立度が低下し、『転倒後の怪我』、『施設収容』、『入院』、『病変』、『死亡リスク』増加します。

しかし認知症は進行を遅らせることができ、また発症を予防することができると言われています。

皆さんホワイトノイズと言うのを知っていますか?

ホワイトノイズとは『様々な周波数の音を同じ強さで混ぜて再生する騒音の一種』であり、換気扇やテレビの砂嵐、波のような雑音のことです。

このホワイトノイズには安眠注意能力の改善パフォーマンスレベルを向上すると言われています。

そこで

今回は、「歩行時のホワイトノイズが軽度認知症高齢者の歩行時間、状態不安、転倒恐怖症に及ぼす影響」についてと言うテーマでお送りしていきたいと思っています。

歩行時のホワイトノイズが軽度認知症高齢者の歩行時間、状態不安、転倒恐怖症に及ぼす影響とは?

本日紹介する論文

研究の目的

歩行中の転倒は、軽度認知症の高齢者にとっては重大な障害となるため、高齢者は心理的に脅かされ、不安や恐怖が著しく増大します。このような歩行時の不安による心理的問題は、パフォーマンスや動作の低下に影響し、また、歩行時の不安により、歩き始めるのが遅れたり、ためらったりして、日常生活に大きな支障をきたします。

よって

目的は、歩行時のホワイトノイズが軽度認知症高齢者の歩行時間、状態不安、転倒恐怖に及ぼす影響について解析すること

対象

韓国K市の認知症センターを利用した軽度認知症の高齢者32名

認知症評価(Clinical Dementia Rating: CDR)およびMini-Mental State Examination-Korean ver.(MMSE-K)の測定結果に基づいて、軽度認知症と診断された対象者を選択した。

対象者の基準
  • 軽度認知症と診断された者。
  • 視力・聴力に問題がない者
  • 歩行を行うための身体構造に神経学的・生理学的問題がない者
  • 抗精神病薬を服用していない者
  • 自発的にこの研究に参加する意思がある者として選定された者

方法

●2019 年 5 月 1 日から 5 月 30 日までの 4 週間実施された。

研究の手順

被験者を実験群と対照群にそれぞれ割り付け、歩行速度、状態不安、転倒恐怖が等価となるように群を編成。

実験群にはホワイトノイズを用いたウォーキングプログラムを適用し、対照群にはウォーキングプログラムのみを行い、週2回、4週間実施され、評価は、歩行プログラム終了後、1ヶ月ごとに個別に行われる。

実験群の特徴

平均年齢:75.42歳(70~75歳が8名、76~80歳が8名)

性別:男性8名、女性8名

平均身長:男性168.67cm、女性155.33cm

平均体重:男性66.83kg、女性53.317kg

対象群の特徴

平均年齢:75.25歳(70-75歳8名,76-80歳8名)

性別:男性8名、女性8名

平均身長:男性169.67cm、女性156.83cm

平均体重:男性67.17kg、女性54.67kg

ホワイトノイズを用いたウォーキングプログラム

●験群と対照群に施設内の講堂で週3回、4週間ウォーキングプログラムを実施

●各セッションの時間は、週100分と週300分

●各セッション開始前に、ストレッチからなるウォームアップとクールダウンを10分間行う

●ホワイトノイズを供給する前に、注意散漫な環境を整え、外部ノイズを完全に遮断

●実験群では、ホワイトノイズ発生器であるGenius Mate Pモデル(株式会社HDT)を用いて、ウォーキングプログラムを実施。

●ホワイトノイズの強度:アプリケーションの効果が最も高い40~50dB。

歩行時間評価

歩行時間の測定には、TUG(Timed Up and Go)テストを使用。

TUGテストは、動的動作やバランスを含む総合的な歩行能力レベルを測定するのに有効なテストであり、その結果は日常生活における歩行中の転倒リスクの予測に利用されている。

方法

肘掛椅子から立ち上がり、3mの距離を歩き、曲がり、椅子まで戻り、座るまでの総時間をストップウォッチで測定します。Go」の指示で歩き始めてから、再び椅子の背もたれに正しく座っているまでの総時間を秒単位で測定。

※被験者が安全で快適と感じる速さで動くように誘導し、時間制限を設けない。

※被験者は自分の普段着と靴を着用するように指示し、必要であれば、そのまま歩行を中止し、休憩を取ることも許可。

カットオフ値

14秒のスコアは転倒の危険性あり

10秒以下は正常

20秒以下では、移動性良好、単独外出可能、歩行補助具なしでも移動可能であることを示す

30秒以下では、問題があり、一人で外出できない、歩行補助具が必要であることを示す

年齢による平均値

60-69歳:7.9±0.9

70-79歳:7.7±2.3秒

80-89歳が11.0±2.2秒

90-101歳が14.7±7.9秒

状態不安の評価

状態不安とは、特殊な状況下での緊張、不安、恐怖、苦痛による一時的な感情状態を指し、その程度は変化しうる特徴を持つとされている。

●状態不安の測定には、韓国版State-Trait Anxiety Inventory (K-STAI)を使用

●20の小項目からなる自己質問紙

これらの項目は、「今、この瞬間に」感じる頻度を、

(1)ほとんどない、(2)ときどきある、(3)よくある、(4)ほとんどある、の4段階評価で回答

●得点が高いほど不安が大きい

カットオフ値

39〜40点

転倒恐怖の評価

転倒恐怖は、転倒に対する継続的な懸念が、最終的に日常生活活動の遂行を制限するものと定義。

●転倒恐怖の測定には、KFES-I (Korean ver. of Fall Efficacy Scale-International) を使用

●KFES-I は、日常生活における転倒の恐怖を測定するのに有効な評価方法である。

●16の小項目からなる自己質問紙で行い

(1)全く気にならない、(4)いつも気になる、の1~4点で採点

●得点が高いほど転倒に対する恐怖感が強いことを示す

カットオフ値

23点

結果

●歩行時間の結果は、両群とも増加を示したが、統計的な有意差は認められなかった

●状態不安と転倒恐怖は減少し、統計的に有意な差を示した

●状態不安と転倒恐怖症の結果では、群間で統計的に有意な差が示された

まとめ

今回紹介した研究では、歩行時のホワイトノイズが歩行時間、状態不安、転倒恐怖に及ぼす影響についてご紹介させて頂きました。

ホワイトノイズにより、軽度認知症高齢者の心理的不安や歩行場面で発生する転倒への恐怖を軽減する心理的作用に加え、身体の動きに対する集中力や注意力を高める効果により、歩行時に発生する転倒恐怖や歩行状態の不安を大幅に軽減することが期待でます。

ホワイトノイズの使用が治療アプローチの一助のなればと思います。

兵庫県宝塚市の訪問リハビリ整体 リ・サンテとは

訪問リハビリ整体リ・サンテは、兵庫県宝塚市にオープンした地域の高齢者を始め様々な方に密着し転倒予防介護予防を目的とした自宅訪問型のリハビリ整体です。

当整体院では兵庫県宝塚市の高齢者の方を始めとし、介護予防転倒予防体のケアを目的に筋力やバランス能力向上、動作指導を行う自費(保険外)のリハビリ訪問整体です。

訪問リハビリ整体の特徴は

自宅を訪問させて頂き病院で行われるリハビリと整体院で行われる施術の要素を併せ持つ生活に密着した業界初の生活圏全般をサポートする”整体院となっています。

訪問リハビリ整体リ・サンテには医療機関で高齢者の身体を回復させるためのリハビリに従事し、高齢者のフレイル対策介護予防転倒予防の研修を受けた理学療法士(国家資格)の資格を持ったスタッフが在籍しています。

ここで培った知識を生かし、高齢者の介護・転倒予防、運動不足解消を目的自宅を訪問させて頂き、高齢者一人一人の身体の状態を把握し完全個別式のリハビリ&整体サービスを提供しています。

当整体院では単なる『マッサージ』や『筋力トレーニング』だけで終わらず、最新の予防医学をもとに個人個人のお身体に合わせたプログラムを作成し60分間完全マンツーマンで施術させて頂きます。

※お身体の関節筋肉の状態、バランス能力数値化し、そのデータは後日グラフを作成しお渡しさせて頂きお身体についてお伝えさせて頂きます。

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