オタゴの運動プログラム??高齢者の転倒予防に与える影響

論文情報

この投稿は、~兵庫高齢者特化型の介護予防・転倒予防~訪問リハビリ整体リ・サンテ宝塚が高齢者のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防に興味がある方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればなと思っています。

転倒とは、「大きな内在的事象や圧倒的な危険の結果ではなく、人が意図せずに地面や他の低いレベルに静止することになった事象」と定義されています。

転倒は、高齢者の骨折、脳卒中、運動機能低下などを引き起こしやく、間接的には、身体的衰弱、認知機能の低下、座りがちな行動、社会的排除、さらには死亡の原因となります。

加齢に伴い、高齢者のバランス能力や姿勢制御能力が低下し、転倒の危険性が高まり、『世界では毎年約30万人が転倒により死亡しています。65歳以上の高齢者では、30%が転倒の経験があり、15%が何度も転倒している』と言われています。

よってこの転倒を起こさないための身体づくりを目指し、

今回は、「オタゴの運動プログラム??高齢者の転倒予防に与える影響」についてと言うテーマでお送りしていきたいと思っています。

本日紹介する論文

研究の目的

高齢者の生活の質を向上させるために、オタゴ・エクササイズ・プログラム(OEP)の起源、開発、参加形態、フィットネス効果について包括的にまとめ、家族および社会経済的コストの減少と高齢者が積極的に転倒に対処できるようにすること。

対象

  • 2005年から2021年4月までの研究論文で最終的に本論文に収録された34本の論文
  • PubMed,web of science,CNKI,dimensional spectrumなどのデータベースを用いる
  • キーワード
    • Otago project exercise; aged, Fall; Cognitive function, Balance ability, Lower limb strength, Fall efficiencyなど
  • 文献の質のチェックにはPEDro Scaleを使用

方法

データ取り込みの品質評価

  • 文献の読み込みとレビューは、3つの段階に分けて行う。
  1. 第一段階
    • 研究者がデータベースで文献を検索し、最初は抄録を閲覧・拝読して適切な文献を選択。
  2. 第2段階
    • 他の研究者が文献を整理し、重複する文献を排除。
  3. 第3段階
    • 2人の研究者が共同で全文を読み、論文が包含基準に合致しているかどうかを判断。コンセンサスが得られていない文献がある場合は、議論の上決定する。
  • 文献の品質と実証レベルPEDroスケールを用いて各文献をチェックし、Pedroscale のスコアが 5 点以上のものを高品質な論文、4 点以下のものを低品質な論文と判断している.
  • 4つのデータベースから合計1,192件の関連論文を検索。そのうち656件の重複文献を削除し、536種類の文献を選択・タイトルと抄録にしたがって、さらなる分析のために105件のフルテキストを入手し、そのうち71件は資格基準を満たさないため除外された。
  • 全文解析の結果、34本の論文が適格基準を満たし、最終的に本論文に収録された論文数は34本である。

オタゴ・エクササイズ・プログラム(OPE)内容

OEPは主に『ウォームアップ活動』、『筋力トレーニング』、『バランストレーニング』、『歩行トレーニング』の4つの部分からなり、理学療法士が高齢者のトレーニング状況を把握し、電話インタビューや家庭訪問を通じて行います。

運動強度はABCDの4段階に分け、徐々に強度を上げていき、運動頻度は週3回以下です。

ウォームアップ活動
  • 5分間のウォームアップ活動。
  • 頭の動き、首の動き、背中のストレッチ、体幹や足首を動かします。
筋力トレーニング
  • 筋力トレーニングは約30分。
  • 座位膝伸展、立位股関節外転、立位膝屈曲、つま先立ち、かかと立ちの5つです。
バランストレーニング
  • バランストレーニングは約30分。
  • バランストレーニングは、片足立ち、数字の8の字歩き、横歩き、後ろ歩き、立位から座位のトレーニング、膝の屈伸、つま先立ち、かかと歩き、つま先立ち、かかと歩き、つま先立ち、かかと歩き、後ろ歩き、階段上りなど12種類です。
歩行トレーニング
  • 10分間の歩行トレーニングで筋力トレーニングとバランストレーニングの効果を定着させます。

結果

この論文のレビューによると、高齢者の転倒予防のための運動処方として

週3回30~50分のOEP運動が推奨

オタゴ・エクササイズ・プログラム(OPE)の起源と発展

  • OEPはニュージーランドに端を発し、Campbellらが初めて高齢女性のためのこの運動療法の介入を実施し、良好な結果を得ている。
  • 現在、OEPはニュージーランドで転倒予防のための重要な介入プロジェクトとして挙げられている。
  • ニュージーランドで最初に成功した後、ドイツ、アメリカ、カナダなどで徐々に導入されている。
  • OEP は、臨床リハビリテーションや術後の回復に広く使用されており、介入対象は、脳卒中、膝関節炎、認知障害、膝関節置換術であり、介入後、患者の身体機能とバランス能力は効果的に改善され、転倒リスクも効果的に低減される。
  • OEPトレーニングの運用形態は、パーソナルエクササイズ、新興技術(拡張現実(VR)、遠隔ライブ放送)、グループエクササイズの形態を取ることができ多様化されている。
  • 独居高齢者は、理学療法士による指導の元、オンラインで運動をすることができる。
  • オンラインOEPトレーニングは、運動レベルの違いによる高齢者の喪失感を軽減し、運動をすることへの自信を高め、在宅高齢者の個別ニーズと安心感を最大限に満たすためには、非常に有効であると言いわれている。

高齢者の認知機能に対するOEPの効果

  • OPEは、高齢者の『脳処理速度』、『持続的注意力』、『視空間能力』、『ワーキングメモリー』などの関連認知能力を向上させることがでる。
  • しかし、OPEが高齢者の身体機能を向上させ、直接ではなく間接的に高齢者の認知機能へ効果を反映できるとされている。
  • 6ヶ月のOEP介入後、高齢者の下肢筋力とバランス能力、認知能力の改善による高齢者の転倒予防と転倒リスク低減の有効性が証明されている。
  • 。音楽療法と組み合わせたOEPは、脳卒中患者の記憶能力、方向感覚、言語能力を向上させ、神経機能の修復に貢献し、認知障害を改善することが研究で明らかにされている。
  • 短期間のOEP運動は、脳卒中患者の認知機能を改善するだけでなく、日常生活能力を大幅に向上させ、その後、高齢脳卒中患者の生活の質の向上を促進することができる。

高齢者のバランス能力に対するOEPの効果

高齢者の静的バランス能力に対するOEPの効果

静的バランス能力は、高齢者が座ったり立っている姿勢のような環境下で安定した状態を保つことができる能力です。

  • 68人の高齢者を対象とした静的バランス研究で、12週間のOEP介入後ベルクバランススケール(BBS)の採点能力、高齢者の静的バランス能力が有意に向上したことが観察され、転倒リスクは介入前の2回から0回に減少
  • 高齢者介護施設における高齢者の体力を大きく改善し、座りがちな高齢者に対するオンラインOEP介入は、静的バランス能力を効果的に改善できる。
  • バーチャルリアリティに基づくOEPトレーニングは、静的姿勢制御を改善することができる。
  • バーチャルOEPによる立位訓練後、片足立ちテスト指数と30秒座りテスト得点がテスト前の得点より高く、これは高齢者の静的バランス能力が向上し、転倒リスクが改善
  • バーチャルOEPは、体力のない高齢者には効果が乏しい
  • バーチャルモードでのグループOEPは、軽度認知障害のある高齢者の虚弱と認知障害の機能を回復させ、バランス能力と身体活動能力を改善できることが証明されている。

高齢者の動的バランス能力に対するOEPの効果

動的バランス能力は、動きを伴いながらも転倒しないようにバランスを保ち続ける能力です。

  • 短期間のグループOEPが効果的に高齢者のバランス能力を改善し、高齢者の身体レベルを向上させ、高齢者が良好な満足感を得ることができると報告している。
  • 座って立つ、立って歩くなどの訓練を繰り返すと、動的バランス能力が有意に改善される。
  • 集団モードのOEPは、より多くの高齢者を参加させることができ、経済コストも民間治療より手頃であるが、特殊高齢者に対する理学療法士によるOEPが不可欠である。
  • OEPは、高齢者の転倒を予防し、高齢者の多様なニーズを満たし、実際のバランス能力を向上させるための長期的な治療法として利用できる。
  • 高齢者に深く愛されている太極拳とOEPは、いずれも高齢者の転倒を予防する有効な手段である。
  • 太極拳とOEPの介入に参加した後、どちらの介入も高齢者のバランス能力を改善したが、OEP介入グループのバランス能力がより優れていることを発見した。

高齢者の下肢筋力に対するOEPの効果

  • OEPは、その特別なトレーニング内容を通じて、高齢者の下肢筋力を向上させ、高齢者の転倒リスクを低減させることができる。
  • OEPの筋力トレーニングは、低強度レジスタンストレーニングを繰り返し、膝関節屈曲、前脛骨筋、足関節背屈を刺激し、筋を十分に活性化し、筋線維のパフォーマンス能力を最大限に高め、筋断面積の萎縮と筋力の低下を遅延させる。
  • OEPによる握力に関する研究では、6ヶ月間の下肢トレーニングと運動により、高齢者の握力を有意に向上させることができ、高齢者のサルコペニアと筋力の低下を防ぐのに役立つ。
  • ある研究では、電子筋力計を用いてOEPの筋力への効果を測定し、プラスの効果を見出した。OEPの「つま先立ち」「つま先かかと」運動は、筋タンパク質合成と筋酸素消費量の増加を促し、筋肉量を増やし、下肢筋力を向上させる効果がある。
  • OEPは、長期の一人暮らしや座りっぱなしの行動高齢者のうつ病の改善や、高齢者の筋肉機能の低下を遅らせることができる。
  • OEPの介入後、高齢者の移動性が改善され、社会参加やスポーツへの参加が増加する可能性がある。
  • 看護センターの高齢者を研究対象者としたOEPは週3回、6ヶ月間、合計78回のグループOEPを実施し、介入後足首筋群の筋力と足首背屈、下肢の筋力が有意に増加。座位・立位テストの試験前と試験後のデータを比較すると、実験群では座位・立位回数が増加し、6ヶ月間の介入期間中、転倒や有害事象はなかった。
  • オタゴの運動プログラムは、転倒や脳卒中の既往のある患者の下肢筋力を効果的に改善。
  • 膝関節症の高齢者におけるOEPの効果は膝関節症の高齢者の下肢筋力を向上し、膝関節症に悪影響はない。
  • OEPは脳卒中患者の下肢筋力を有意に向上させ、転倒のリスクを低減させるが、日常生活動作や生活の質にはほとんど影響を与えないという結果が出ている。
  • 家族ベースのOEPが効果的に高齢者の転倒を防ぎ、家族の身体機能や下肢筋力を向上させ、調和のとれた家族の雰囲気を作り出し、高齢者の主観的な幸福感を向上させることを示している。

高齢者における転倒効力に対するOEPの効果

転倒効力とは、日常生活に伴う活動を転倒することなくどの程度行えるのかという見込み間のことをいいます。

  • OEPの効果は、高齢者のバランスと自信を強化し、転倒に対する恐怖を減らすのに役立つ。
  • 12週間のOEP介入後、心理的関連の自信の問題が効果的に改善され、高齢者の姿勢制御に対する自信が強化される。
  • OEPは高齢者の転倒予防効果を高め、社会参加を拡大し、高齢者が日常生活をよりよく管理できるようにすることができる。
  • OEPは、運動不足による負の影響を軽減し、高齢者のうつ病や身体機能を有意に改善するために用いられる。
  • 膝関節置換術後の高齢者の介入研究において、OEPが患者の転倒効率を有意に改善し、患者の自信を高め、退院した後も自宅で自律的に運動できるプログラムにより運動効果を高めることができる。

まとめ

今回紹介した研究では、OEPは高齢者の『認知機能の改善』や、『下肢筋力、動的・静的バランス能力向上』、さらに『高齢者の歩行安定性や姿勢制御能力を改善』し、高齢者の転倒予防を図ることができます。

またOEPは

高齢者の転倒効率を改善し、高齢者が転倒の恐怖を克服し、「運動は運動を向上させる」というポジティブな感情を形成し、座りがちな行動による身体機能の低下やうつ病の発症を減らし、主観的幸福感を向上させることができます。

OEPの補助訓練法として吸気筋訓練や多感覚バランス練習を取り入れ、2つの療法を組み合わせることで、高齢者のバランス機能と高齢者の吸気筋の機能をより良く改善することができます。

OEPの短期間のトレーニングは、転倒歴のある高齢者にはほとんど効果がなく、身体能力を向上させるだけであるが、『転倒歴のある高齢者は積極的に運動に参加し、時間内に転倒リスクを低減させ、運動効果の持続性を確保するために長期間継続』する必要がある。

OEPは自宅でも行うことができるトレーニング方法であり、お身体にとってもとってもいい効果をもたらします。

是非ご興味がわいた方は1度調べてみて、自主トレとして提供して頂ければと思います。

兵庫県宝塚市の訪問リハビリ整体 リ・サンテとは

リハビリ整体リ・サンテは、兵庫県宝塚市にオープンした地域の高齢者を始め様々な方に密着し転倒予防介護予防を目的とした自宅訪問型のリハビリ整体です。

当整体院では兵庫県宝塚市の高齢者の方を始めとし、介護予防転倒予防体のケアを目的に筋力やバランス能力向上、動作指導を行う自費(保険外)の訪問リハビリ整体です。

訪問リハビリ整体の特徴は

自宅を訪問させて頂き病院で行われるリハビリと整体院で行われる施術の要素を併せ持つ生活に密着した業界初の生活圏全般をサポートする”整体院となっています。

リハビリ整体リ・サンテには医療機関で高齢者の身体を回復させるためのリハビリに従事し、高齢者のフレイル対策介護予防転倒予防の研修を受けた理学療法士(国家資格)の資格を持ったスタッフが在籍しています。

ここで培った知識を生かし、高齢者の介護・転倒予防、運動不足解消を目的自宅を訪問させて頂き、高齢者一人一人の身体の状態を把握し完全個別式のリハビリ&整体サービスを提供しています。

当整体院では単なる『マッサージ』や『筋力トレーニング』だけで終わらず、最新の予防医学をもとに個人個人のお身体に合わせたプログラムを作成し60分間完全マンツーマンで施術させて頂きます。

※お身体の関節筋肉の状態、バランス能力数値化し、そのデータは後日グラフを作成しお渡しさせて頂きお身体についてお伝えさせて頂きます。

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