脳卒中後手指痙縮の緩和『筋刺激法と皮膚刺激法』最も効果的なのは?

論文情報

この投稿は、~兵庫自費訪問リハビリ整体リ・サンテ宝塚~』が脳卒中や骨折、人工骨頭の手術後、腰痛のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防に興味がある方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればと思っています。

様々な研究により、脳卒中後の痙縮がに対して振動刺激または振動触覚刺激が痙直性筋緊張亢進症の症状緩和に役立つ可能性があるという有望な予備的証拠が得られています。

実際のリハビリで痙縮筋の筋緊張を抑制するために振動刺激を用いることがあると思います。

しかし『痙性筋』、『痙性拮抗筋』、『皮膚』など、どこに振動刺激を与えると筋緊張を軽減できるかの研究は出ていません。

痙縮の定義(Lance, 1980)

痙縮は、緊張性伸張反射の増加を特徴とする速度依存性運動障害と定義されています。

そこで『痙性筋』、『痙性拮抗筋』、『皮膚』に対し、これらの異なるアプローチを同じ参加者グループでテストした先行研究はこの研究が初めてとなっております。

今回は、「脳卒中後痙縮の緩和『筋刺激法と皮膚刺激法』最も効果的なのは?」について報告されている論文をご紹介させていただきたいと思います。

脳卒中後手指痙縮の緩和『筋刺激法と皮膚刺激法』最も効果的なのは?

本日紹介する論文

参考文献

Relief of post-stroke spasticity with acute vibrotactile stimulation: controlled crossover study of muscle and skin stimulus methods.2023

研究の目的

『脳卒中後遺症患者の痙縮性筋緊張亢進の軽減に最も効果的な振動触覚刺激法を決定する』すること

方法

脳卒中後の痙縮患者14名を対象に、振動触覚刺激の無作為化偽薬対照クロスオーバー試験を実施した

参加者

参加基準は、脳卒中の既往歴が6ヵ月以上

  • 近位指節間関節(PIP)および/または中手指節関節(MCP)において、すべての指を同時に動かしたときの痙性(Modified Ashworth Scaleでスコア1以上)である。
  • 抗痙攣薬を服用している参加者は、服薬の継続が許可

除外基準

  • 過去3ヵ月以内のA型ボツリヌス(BTX-A)注射
  • PIP/MCPの最大受動可動域を制限する拘縮または損傷
  • 動作に影響を及ぼす他の疾患(MS、ALS、パーキンソン病など)

刺激部位

  • 3種類の治療的振動刺激と偽刺激を適用
  • 刺激時間は20分
  • 休憩時間10分

1.主動作筋刺激:浅指屈筋(FDS)

先行研究によるメカニズム

この刺激はIa筋紡錘を活性化することで働くことが示唆されており(Caliandro et al、2017)、シナプス前または反復抑制を介した筋緊張の低下(Noma et al.、2012)、あるいは抑制路へのシナプス可塑性による長期増強による筋の過剰興奮性の低下(ヘッブの法則)(Marconi et al.、2011;Caliandro et al.)

※ヘッブの法則とは

脳のシナプス可塑性についての法則である。ヘッブ則、ヘブ則とも呼ばれる。心理学者のドナルド・ヘッブによって提唱された。ニューロン間の接合部であるシナプスにおいて、シナプス前ニューロンの繰り返し発火によってシナプス後ニューロンに発火が起こると、そのシナプスの伝達効率が増強される。また逆に、発火が長期間起こらないと、そのシナプスの伝達効率は減退するというものである。Wikipedia引用

2.拮抗筋刺激:指伸筋(ED)

先行研究によるメカニズム

この刺激はIa筋紡錘の活性化を通じて作用し、反対側(痙性)筋の相互抑制を誘導することが示唆されている(Ageranioti and Hayes, 1990)。

3.指先への皮膚刺激

先行研究によるメカニズム

(1)指先には、振動入力に最も反応するパチニ小体を含む皮膚機械受容器が密集している(Johansson and Vallbo, 1979)。

(2)他の研究から、指先や手背の皮膚入力は、前腕屈筋の反射抑制を生じさせるだけでなく(Nielsen and Pierrot-Deseilligny、1991)、伸筋の共活性化を促進する可能性があることが示唆されている(Kim et al., 2013)。

4.手関節背側への偽刺激

周波数

  • 筋刺激の目標周波数は70-90Hz
  • 皮膚刺激の目標周波数は250Hz(パチニ小体が最も反応するHz)

アウトカム・サブアウトカム

MCPおよびPIP関節のMAS(Modified Ashworth Scale)

MCPおよびPIP関節のMTS(Modified Tardieu scale)

Isometric Force Pillow (IFP)

結果

MASおよびMTSは、皮膚刺激中はそれぞれ中央値で1.1(SD = 0.84、p = 0.001)および0.75(SD = 0.65、p = 0.003)減少し、皮膚刺激15分後にはそれぞれ1.25(SD = 0.94、p = 0.001)および0.71(SD = 0.67、p = 0.003)減少した。

痙性筋刺激と拮抗筋刺激による症状軽減は、ゼロではなかったが有意ではなかった。

偽刺激では変化はなかった。

まとめ

今回の報告では他の筋刺激よりも20分間皮膚への振動刺激(指先)は痙縮の減少に効果的であると結果が出ました。

よって、この研究をもとにリハビリアプローチ方法の一つとして、皮膚に振動刺激を与えることで手指痙縮を抑制できる可能性があります。

今回の研究は1日で行っているため週2~3回など頻度を増やすとさらなる効果が表れるかもしれません。

兵庫県宝塚市の自費訪問リハビリ整体 リ・サンテとは

自費訪問リハビリ整体リ・サンテは、兵庫県宝塚市にオープンした脳卒中の方や人工関節の手術をされた方、足腰にお悩みを抱えている方を始め様々な方に密着し自費(保険外)での自宅や施設への訪問型のリハビリ整体です。

自費訪問リハビリ整体の特徴は

自宅や施設を訪問させて頂き病院で行われるリハビリと整体院で行われる施術の要素を併せ持つ生活に密着した業界初の生活圏全般をサポートする”自費リハビリ施設となっています。

リハビリ整体リ・サンテには医療機関で脳卒中後遺症の方や、人工関節の術後、骨折後などの身体を回復させるためのリハビリに従事し、高齢者のフレイル対策や介護予防、転倒予防の研修を受けた理学療法士(国家資格)の資格を持ったスタッフが在籍しています。

ここで培った知識を生かし、自宅や施設を訪問させて頂き、皆さんのお悩み事を解決するために一人一人の身体の状態を把握し完全個別式のリハビリ&整体サービスを提供しています。

当自費リハビリ整体院では単なる『マッサージ』や『筋力トレーニング』だけで終わらず、最新の予防医学をもとに個人個人のお身体に合わせたプログラムを作成し30分~60分間完全マンツーマンで施術させて頂きます。

※お身体の関節筋肉の状態、バランス能力数値化し、そのデータは後日グラフを作成しお渡しさせて頂きお身体についてお伝えさせて頂きます。

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