地域在住高齢者『バランスと転倒におけるステップトレーニングと股関節筋力強化の比較』

論文情報

この投稿は、~兵庫高齢者特化型の介護予防・転倒予防~訪問リハビリ整体リ・サンテ宝塚が高齢者のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防に興味がある方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればなと思っています。

転倒とは、「大きな内在的事象や圧倒的な危険の結果ではなく、人が意図せずに地面や他の低いレベルに静止することになった事象」と定義されています。

多くの高齢者は内側-外側および前後方向のステップの乏しさが見られており、バランス機能の低下は転倒危険因子であり、運動トレーニングは高齢者において頻繁に使用され、効果的な転倒予防策とされています。

高齢者が立位時や姿勢の移行時に『急に横を向いたとき』、『歩行方向を変えたとき』、『不整地への踏み込み』、『人ごみの中で揺さぶられたとき』、『鎖につながれたペットに横に引っ張られたとき』など、日常的に内側-外側保護ステップを迅速に行う必要がある状況が存在します。

今回は、転倒リスク軽減を目指し「地域在住高齢者『バランスと転倒におけるステップトレーニングと股関節筋力強化の比較』」についてと言うテーマでお送りします。

地域在住高齢者におけるバランスと転倒ステップトレーニングと股関節筋力強化の比較

本日紹介する論文

研究の目的

●主要目的:『高齢者のバランス能力、筋力、転倒予知に対する摂動誘発型ステップトレーニング、股関節外転筋強化、およびそれらの組み合わせの効果を比較。』

●副目的:3ヶ月間トレーニングを行わなかった後のアウトカム指標におけるトレーニングによる改善の持続性を評価すること。

対象

●参加資格を得るために医療チームの診察を受けスクリーニングされた、65歳以上の健康な高齢者188人のうち86人が参加基準または除外基準により除外され、21人が参加を断念するか、除外されずにフォローアップの連絡が途絶えた。

●よって残りの102人が対象

除外項目

(a)認知障害(Mini-Mental Score Exam <24)

(b)鎮静剤の使用

(c)歩行不能

(d)筋骨格、神経系、心肺、代謝、その他一般医学的問題に関わる臨床的に重大な機能障害

(e)日常化学検査による糖尿病、腎臓病、肝臓病など

方法

  • 地域在住の高齢者を4つのトレーニング群に無作為に割り付け
    1. 摂動誘発ステップトレーニング(IST)
    2. 股関節強化トレーニング(HST)
    3. 誘発ステップと股関節強化トレーニングの組み合わせ(CMB)
    4. 標準の柔軟性とリラックス運動からなるコントロールグループ(SFR)
  • 週3回、12週間、36セッション
  • 13週間以内に34セッションを完了できない参加者は、分析から除外された
  • 主要筋群の軽い反復ストレッチ、または低レベルの有酸素性静止サイクリングまたはトレッドミルウォーキングからなる10分間のウォームアップを実施
  • 運動強度は、免許を持つ理学療法士(PT)が決定
  • トレーニングは、PTまたはリサーチアシスタントが監督

摂動誘発ステップトレーニング(IST)

  • 10試行(キャッチ試行を除く)ごとに、ステップを誘発する43回の腰引き試行(2方向×20回+摂動なしのキャッチ試行3回)をランダムに提示。
  • 指示は、「引っ張られたら自然に反応し、バランスを保つようにする。ステップした場合は、できるだけ少ないステップ数でバランスを安定させること。
  • 最初のトレーニング強度は、各参加者個々の左右のバランス許容限界のうち最も低い値の15%に設定
  • 10%ずつ負荷量を上げる。

股関節強化トレーニング(HST)

  • 3つの抵抗エクササイズを1セット10回、3セット行い、セット間に2~3分の休憩を入れる。
  • 仰臥位股関節外転で、抵抗の異なる弾性セラバンド(赤=軽い~黒=重い)を用いて抵抗を与える。
    • 参加者が過度の疲労やフォームの乱れなくすべての反復を行えるようになった時点で進行とした。
  • カフウェイトを用いた側臥位股関節外転。
    • 抵抗は、セット1では側臥位1反復最大(1RM)の35%、セット2では1RMの55%、セット3では1RMの75%に設定。側臥位1回RMは2週間ごとに再評価を行う。
  • 壁面に設置された視覚表示付きの力変換器に対して、立位での等尺性股関節外転筋を発揮させた。
    • 等尺性収縮は6秒間、許容範囲内で5~10回繰り返す。抵抗運動は、参加者が疲労を訴えたとき、または最大筋力が低下したときに中止。側臥位での運動では、エキセントリック収縮期はコンセントリック期よりもゆっくりと行う。

誘発ステップと股関節強化トレーニングの組み合わせ(CMB)

  • ISTとHSTのプロトコルを連続セッションで交互に実施。

標準の柔軟性とリラックス運動からなるコントロールグループ(SFR)

  • リズミカルな呼吸をコントロールしながら、座った状態で行う最小強度の柔軟性とリラクゼーションエクササイズ。
  • つま先の曲げ伸ばし、足首の曲げ伸ばしと回転、膝の曲げ伸ばしと回転、手の握り、手首の曲げ伸ばしと回転、肘の曲げ伸ばし、肩の回転、体幹と首の曲げ伸ばしと回転のストレッチ運動を20分程行う。
  • すべてのエクササイズは、各ストレッチを約15秒間保持し、10回繰り返された。
  • 参加者は、研究期間中、予定されたトレーニングセッション以外ではエクササイズを行わないようにする。

12週間の実験室トレーニングの後

  • すべての参加者は、ステップトレーニングと股関節の強化エクササイズを組み合わせた、定着率を高めるための自宅でのメンテナンスプログラムを行う。
  • 股関節強化は、トレーニング終了時に参加者が到達した弾性抵抗セラバンドレベルで、仰臥位と立位の股関節外転を行う。
  • ステップトレーニングは、4方向(前、右、左、後ろ)に素早く自発的にステップを踏むもので、回数と繰り返しはトレーニングと同じ。
  • 参加者は週に2-3回実施することが推奨。
  • 維持トレーニングは日誌に記録され、トレーニング後3ヶ月の間の評価するために各参加者に毎週フォローアップの電話がかけられた。

アウトカム測定

アウトカム
  • トレーニング前、トレーニング直後、トレーニング終了後3日以内の3つの時点で収集された。ここでは、ベースラインとトレーニング3ヶ月後のパフォーマンスを比較
  • バランス評価
  • 総合的な身体的・精神的健康状態:
  • 歩行
    • 歩行器を使い最も速い速度での歩幅、歩幅時間、歩行速度を測定。
  • 最大等速性股関節AB関節トルク
    • 立った状態で、股関節を最初に外転30°に位置させ、0~30°の運動を通して60deg/sで両側から測定(Biodex)、左右各5回の試行の平均値は、個人の体重と身長で正規化。
  • 転倒頻度
    • トレーニング後12ヶ月間、毎月の電話連絡と葉書によって追跡。
  • 保護的ステップの評価
    • 電動式腰引きシステムを介して適用される横方向の姿勢摂動を使って行われる。

結果

  • 姿勢摂動トレーニングが地域生活高齢者のバランス機能を強化し、転倒リスクを低減できることを示すこれまでの報告を裏付けさらに発展させた。
  • 『保護ステップ』、『バランス許容限界』、『FSST』による横方向のバランス能力は、摂動トレーニングによって改善されたが、一般的に用いられる股関節の筋力強化だけでは改善されなかった。
    • 筋パワー(力×収縮速度)を強調する抵抗運動トレーニングプログラムの方が効果的。
  • 摂動と筋力トレーニングを組み合わせることでバランス能力向上や転倒リスク低減されることが確認された。
  • 全体として、それぞれの介入は対照群と比較して転倒率を減少させた。
  • CMBは転倒の原因因子である内-外側ステップに伴う体重移動能力の低下の改善に関連し、バランス安定性の向上と転倒予防の治療目標となり得る

まとめ

多くの高齢者は内側-外側および前後方向のステップの乏しさが見られており、『急に横を向いたとき』、『歩行方向を変えたとき』、『不整地への踏み込み』、『人ごみの中で揺さぶられたとき』、『鎖につながれたペットに横に引っ張られたとき』と言った場合にバランスを崩し転倒するリスクがすごく高い状態となっています。

今回紹介した研究では、高齢者の転倒リスク軽減を図るために、ステップ練習と股間筋トレの比較を行いました。

病院や訪問リハビリで転倒防止のために一般的に行われる『筋トレ』では転倒予防に繋がる可能性が低いことが分かりました。

筋トレも大事ではありますが、躓いた際などにどの方向にでも足を出せる(ステップ)ような体作りが転倒を予防するには必要であり、外乱によるステップ練習に加え、筋パワーの要素を考慮して治療・アプローチを考える必要があるかもしれません。

兵庫県宝塚市の訪問リハビリ整体 リ・サンテとは

リハビリ整体リ・サンテは、兵庫県宝塚市にオープンした地域の高齢者を始め様々な方に密着し転倒予防介護予防を目的とした自宅訪問型のリハビリ整体です。

当整体院では兵庫県宝塚市の高齢者の方を始めとし、介護予防転倒予防体のケアを目的に筋力やバランス能力向上、動作指導を行う自費(保険外)の訪問リハビリ整体です。

訪問リハビリ整体の特徴は

自宅を訪問させて頂き病院で行われるリハビリと整体院で行われる施術の要素を併せ持つ生活に密着した業界初の生活圏全般をサポートする”整体院となっています。

リハビリ整体リ・サンテには医療機関で高齢者の身体を回復させるためのリハビリに従事し、高齢者のフレイル対策介護予防転倒予防の研修を受けた理学療法士(国家資格)の資格を持ったスタッフが在籍しています。

ここで培った知識を生かし、高齢者の介護・転倒予防、運動不足解消を目的自宅を訪問させて頂き、高齢者一人一人の身体の状態を把握し完全個別式のリハビリ&整体サービスを提供しています。

当整体院では単なる『マッサージ』や『筋力トレーニング』だけで終わらず、最新の予防医学をもとに個人個人のお身体に合わせたプログラムを作成し60分間完全マンツーマンで施術させて頂きます。

※お身体の関節筋肉の状態、バランス能力数値化し、そのデータは後日グラフを作成しお渡しさせて頂きお身体についてお伝えさせて頂きます。

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