この投稿は、『~兵庫高齢者特化型の介護予防・転倒予防~訪問リハビリ整体院リ・サンテ宝塚』が高齢者のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防に興味がある方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればなと思っています。
今回は、「地域在住の高齢者|ふくらはぎの硬さと転倒リスクは関連する?」についてと言うテーマでお送りしていきたいと思っています。
転倒は、世界中の高齢者の身体的損傷及び損傷関連死亡の主要原因であり、不必要または予防可能な入院を増加させ、社会及び医療制度に大きな財政負担となります。
また、高齢者の転倒の危険性や経験が自立した生活を維持するために有害な影響を与えるため転倒を減らすことが不可欠です。この転倒を減らすための予防の1つは、転倒リスクの高い高齢者を正確に特定することが必要です。
今、高齢者のリハビリに携わる方や、予防分野に携わる方のアプローチの一助になれればと思います。
地域在住の高齢者|ふくらはぎの硬さと転倒リスクは関連する?
本日紹介する論文
研究の目的
高齢者において、転倒経験のある者(転倒者)とない者(非転倒者)の前脛骨筋と腓腹筋の筋力、バランス能力、厚さ、硬さを比較し、転倒者における上記の変数と筋硬さの関連を確認すること。
バランスは、足の矢状面と前額面の位置の調整により制御されます。
前額面の制御は前脛骨筋と腓骨筋が、矢状面では、腓腹筋と前脛骨筋が働きバランスを制御。
高齢者の前脛骨筋と腓腹筋の内側および外側頭部の筋肉の固さに着目し、この違いがバランス能力の低下と関連しているのではないか。
対象
高齢者122名(年齢65-92歳)を、ポスターなどの公民館での様々な広告手段を通じて集めた。
参加者は、参加資格基準に従って、電話によるインタビューによって選出。
- 日常生活動作が自立してできること
- 高血圧以外の心血管疾患の既往がないこと
- 下肢の筋骨格系疾患に対する手術歴がないこと
- 脳梗塞などの神経系疾患の既往がないこと
- mini-mental state examinationのスコアが24点未満
- 補助具なしでは歩行できない
- 下肢に病前または現在の整形外科的問題がある
- 測定手順を受けなかった者
方法
参加者には試験日の1日前に連絡し大学の研究室で行った。
アンケート
参加者は人口統計学的特徴と過去1年間の転倒回数を含む転倒経験に関するアンケートに回答。
経験者(転倒者)群と非経験者(非転倒者)群に分けた。
ミニ・メンタル・ステート・テスト(Mini-Mental State Examination)
参加者の認知機能は、韓国版Mini Mental State Examination(K-MMSE)を用いて評価された。
MMSEは、高齢者の認知機能検査として広く用いられており方向性、注意、記憶、言語、視覚・空間的スキルのテストが含まれる。
・時間的志向性では、参加者に韓国の年号と時刻を確認。
・記憶力評価では、「飛行機」「鉛筆」「松の木」という単語を使用。
・注意力は、100から7を順次引くことで評価。
・テストのスコアは0から30まであり、24以上のスコアは認知機能障害がないことを示す。
バランス制御に寄与する主な認知機能は、記憶、注意、および方向性であり、認知機能が低下した高齢者は、本質的にバランスが悪く、転倒のリスクが高く、転倒に対する恐怖が大きいため、K-MMSEスコアが24点以上の参加者を選択した。
バランス能力
バランス能力は、Functional Reach Test(FRT)、TUG Time、Short Physical Performance Battery(SPPB)スコアで測定し、歩行速度は転倒リスク評価に使用した。
立位で一定の支持基底を維持したまま、腕の長さを超えて前方に手を伸ばすことができる最大距離を測定。
高齢者の転倒発生に対する予測妥当性があると報告されている。
15.24 cmから25.40 cmの範囲の値は6ヶ月以内の転倒リスクを予測。
肘掛のついた椅子にゆったりと腰かけた状態から立ち上がり、3mを心地よい早さで歩き、折り返してから再び深く着座するまでの様子を観察するもの
成人の機能的移動性を調べるために使用される簡単な結果指標である。さらに、地域在住の高齢者の転倒リスクを判断するための優れた評価者内信頼性を有している。
TUGスコア13.5秒以上では転倒リスクが高くなる。
歩行速度は、一般的に歩行速度の評価に用いられる10m歩行試験で測定。
参加者は、14mの距離を自己の希望する速度で歩行することを求められた。最初の2mと最後の2mの距離をそれぞれ加速点、減速点とし、評価には含めず、10m中間部の内側の歩行速度を評価した。
歩行速度<1.0m/sは転倒歴および転倒リスクの上昇と有意に関連。
※TUGと歩行速度は3回実施し、平均値を記録した。
SPPBは高齢者の転倒リスクを評価するツールである。
立位バランス、標準的なペースでの4m歩行、5回椅子式座位-立位テスト(5TSTS)の3つのテストから構成されています。立位バランス検査には、タンデム立位、セミタンデム立位、閉脚立位があり、それぞれ10秒間の立位保持で完了とした。
●セミタンデム立位と閉脚立位は10秒以上立ったら1点、10秒できなかった場合や未遂の場合は0点であった。
●タンデム立位では,10秒以上の起立で2点,3秒から9.99秒の起立で1点,3秒未満または未起立で0点であった.
●4m歩行の評価には、参加者に普段のペースで4m歩いてもらった。
●5回椅子座位から立ち上がりテストでは、事前テストを行う。
被験者に腕を胸で組み、肘掛けを使わずに椅子から立ち上がってもらった。5回目の立ち上がりでは、最初に座った位置から最後に立った位置までの時間を秒単位で計測した。
SPPBの3つの下位検査(立位バランス、4m歩行、5TSTS)はそれぞれ0から4のスケールで採点し、個々のスコアを加算して0から12の合計スコアとし、スコアが高いほど機能が優れていることを示しスコア≦10は転倒リスクを増加させる可能性がある。
筋力
筋力は、MicroFET2 ハンドヘルドダイナモメーター(Hoggan Industries, Inc.)この電池式ロードセルシステムは、ニュートン(N)で表されるピーク力をデジタルで読み取ることができる。
ハンドヘルドダイナモメトリーは、等尺性下肢筋力のほとんどの測定において、信頼性と妥当性が良好から優れている。筋力は体重で正規化した(N/kg)。
最大等尺性筋力は、足関節背屈筋と足関節底屈筋として、それぞれ前脛骨筋と腓腹筋で測定。
被験者にテストする動作を見せ、次に理解度を確認するため、その動作を実施してもらった。
収縮間隔は30秒間隔で3回測定し、その平均値を用いた。
●前脛骨筋の測定は、仰臥位で股関節と膝を伸ばし、足首を検査台の端から離した状態で行った。ダイナモメーターは、足指のすぐ近位にある足背の上に置かれた。
●腓腹筋は前脛骨筋測定と同じ姿勢になり、足底の中央に置かれたダイナモメーターでGAを測定した。

筋の硬さと厚み
超音波画像とSWE(剪断波)は、筋骨格系放射線科で5年以上の経験を持つ2名の放射線科医のうち1名が同時に行った。
利き脚の前脛骨筋、腓腹筋内側頭、腓腹筋外側頭の厚み、安静時、10秒間収縮時のスティフネスを測定。
厚みと硬さは、5~10MHzのリニアプローブを装備したRS85超音波装置(韓国ソウル市、Samsung Medison)を用いて測定した。
Bモード(2次元超音波画像表示)を用いて断面で測定した。その後、プローブを筋繊維の方向に回転させ、SWEモードを使用して縦断面の静止筋硬度および収縮筋硬度を取得した。筋厚は、表層部と深層部の腱膜の距離として測定した。
前脛骨筋:参加者を仰臥位にして、膝蓋骨の下縁と第一中足骨基部の間の距離の1/3の地点での硬さを測定した。
腓腹筋:うつ伏せにした状態で測定した。腓腹筋内側頭は膝蓋骨の内側から踵までの距離の1/3の位置で、腓腹筋外側頭は膝蓋骨の外側から踵までの距離の1/3の位置で測定した。

前述の筋については,安静時の筋肉の固さを測定後,筋力測定と同様の姿勢で最大収縮を誘発させた際の収縮時の筋肉の固さを測定。

筋スティフネスについては、円形の関心領域は直径5mmで、筋線維に平行に配置。局所的な貫通欠損や線維性隔壁は避けた。各 SWE 画像に 4 つの関心領域の円を作成し、剛性値の平均を算出した。値はPkaで記録された。筋厚と剛性は同じ位置から取得した。

結果
転倒者と非転倒者の身体機能および筋厚・筋硬度の比較
FRT、TUG、SPPB、歩行速度が転倒者では非転倒者に比べ有意に劣っていました。
両群間に差はなかった。
前脛骨筋の安静時と筋硬度と、 腓腹筋内側頭の厚さと筋硬度、腓腹筋外側頭の厚さと筋硬度は転倒者では非転倒者に比べ有意に低かった。
転倒者の身体機能と筋肉の厚さ・硬さの相関関係
腓腹筋内側頭の厚さはFRTおよび歩行速度と関連があった。
腓腹筋内側頭の安静時弾力性はSPPBと、腓腹筋内側頭の収縮時硬度は歩行速度およびSPPBと関連が見られた。
しかし前脛骨筋と腓腹筋外側頭、は有意な相関を示さなかった。
まとめ
今回紹介した研究では、転倒者は筋力に差はないが、バランス能力(FRT、TUG、SPPB、歩行速度)、『前脛骨筋の安静時および収縮時硬度』、『腓腹筋内側頭および腓腹筋外側頭の厚さおよび収縮時硬度』が有意に低下していることが分かりました。
さらに、『腓腹筋内側頭の厚さ、安静時、収縮剛性はバランス能力と相関』があり、高齢者では下肢の筋力よりも収縮性スティフネス(筋肉の固さ)が転倒との関連性が高いことがわかった。
なかなか超音波での評価を行うことが難しいかもしれません。
しかし高齢者の転倒を予測するために、腓腹筋内側頭に着目したアプローチを行いバランス能力の評価をアウトカムにすることで転倒リスクを予防できる可能性があります。
兵庫県宝塚市の訪問リハビリ整体 リ・サンテとは
訪問リハビリ整体リ・サンテは、兵庫県宝塚市にオープンした地域の高齢者を始め様々な方に密着し転倒予防や介護予防を目的とした自宅訪問型のリハビリ整体です。
当整体院では兵庫県宝塚市の高齢者の方を始めとし、介護予防、転倒予防、体のケアを目的に筋力やバランス能力向上、動作指導を行う自費(保険外)のリハビリ訪問整体です。
自宅を訪問させて頂き病院で行われるリハビリと整体院で行われる施術の要素を併せ持つ生活に密着した‟業界初の生活圏全般をサポートする”整体院となっています。
訪問リハビリ整体リ・サンテには医療機関で高齢者の身体を回復させるためのリハビリに従事し、高齢者のフレイル対策や介護予防、転倒予防の研修を受けた理学療法士(国家資格)の資格を持ったスタッフが在籍しています。
ここで培った知識を生かし、高齢者の介護・転倒予防、運動不足解消を目的に自宅を訪問させて頂き、高齢者一人一人の身体の状態を把握し完全個別式のリハビリ&整体サービスを提供しています。
当整体院では単なる『マッサージ』や『筋力トレーニング』だけで終わらず、最新の予防医学をもとに個人個人のお身体に合わせたプログラムを作成し60分間完全マンツーマンで施術させて頂きます。
※お身体の関節や筋肉の状態、バランス能力を数値化し、そのデータは後日グラフを作成しお渡しさせて頂きお身体についてお伝えさせて頂きます。

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