脳卒中慢性期患者における側方ステップアップテストの信頼性と運動機能・活動性との関連性

論文情報

この投稿は、~兵庫自費訪問リハビリ整体リ・サンテ宝塚~』が脳卒中や骨折、人工骨頭の手術後のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防に興味がある方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればなと思っています。

脳卒中生存者では、麻痺した膝伸筋と足関節背屈筋のそれぞれの筋力は、麻痺していない脚の筋力の61%と32%であることが一般的であり、パフォーマンスを決定する重要な要素です。

一般的にはハンドヘルドダイナモを使用しOKCでの筋力を測定することが多いと思います。しかしOKCでの筋力測定では実際の動作や日常生活を予測することは少し難しいところがります。

ラテラルステップアップテスト(LSUT)は、下肢の機能的筋力を評価するために用いられるCKCでのテストとなっています。

またこのテストは下肢の筋力だけでなく、バランス感覚や固有感覚を評価するために設計され、「健康な成人 」、「股関節骨折の高齢者」 、「膝半月板切除の患者 」、「脳性麻痺の患者 」 の機能的筋力の臨床指標として用いられており、LSUTの相互信頼性、相互信頼性も認められています

しかし脳卒中の方に対してのLSUTの報告はありません。

そこで

今回は、「脳卒中慢性期患者における側方ステップアップテストの信頼性と運動機能・活動性との関連性」についてと言うテーマでお送りしていきたいと思っています。

脳卒中慢性期患者における側方ステップアップテストの信頼性と運動機能・活動性との関連性

本日紹介する論文

研究の目的

本研究の目的は、脳卒中生存者における

(1)LSUTカウントの相互信頼性、相互信頼性、テストレテスト信頼性、

(2)麻痺側と非麻痺側のLSUTカウントの最小検出可能変化(MDC)、

(3)Fugl-Meyer Assessment (FMA-LE) 下肢サブスケール、下肢筋力、FTSTS完了時間、Berg Balance Scale (BBS) score、TUG完了時間、活動別バランス信頼度 (ABC) scoreとの関連性

を調査すること。

対象

●33人の脳卒中生存者(男性22人、女性11人、平均年齢:60.18±6.42歳)

参加基準
  • 年齢50歳以上
  • 脳卒中発症から研究参加まで少なくとも1年の間隔
  • 椅子から自立して立ち上がることができる
除外基準
  • 言語による指示に従うことができない
  • 中国語版のAbbreviated Mental Test(AMT)で6点未満
  • 医学的に不安定
  • 神経疾患または筋骨格系の疾患を併存

方法

●脳卒中患者は、筋力テスト、FTSTS、BBSとFMA-LEスケールを無作為の順序で実施し各評価の間には5分間の休息を行う

●2人の評価者によって評価され1週間の間隔をあけて2回の評価セッションに参加

アウトカム

側方ステップアップテスト(LSUT)
  1. 15cmの台を使用
  2. 脳卒中患者は、足を肩幅に開いて、検査する足をステップ台に乗せる
  3. 脳卒中患者には以下の標準化された口頭指導が行われました
    • 「3つ数えたら、ステップに乗せた足を完全に伸ばす」
    • 「もう片方の足が床につくまで膝を曲げる」
    • 「15秒間にできるだけ多くの回数を繰り返す」
  4. 各参加者は左右で2回ずつ試行

※脳卒中患者はテスト中にAFOを着用することができるが、歩行補助具は禁止

Fugl-Meyer Assessmentの下肢サブスケール(FMA-LE)
  1. FMA-LEは、協調性、反射、随意運動を測定
  2. この下位尺度は、0~2のスケールで採点される17項目から構成され、最大で34点
  3. 脳卒中生存者の信頼できる評価として広く認められており、FMA-LEスコアが高いほど、麻痺側の下肢障害の程度が低いことを示唆

下肢筋力
  1. 股関節外転筋、膝関節屈曲筋・伸展筋、足関節背屈筋・足底屈筋の最大随意等尺性収縮を、ハンドヘルドダイナモメーターで両側測定
  2. 各セッションにおいて、各筋肉の3回の試行を左右で行い、各試行は1分間の休息を行う
  3. 3回の試行の平均値を使用

Times Sit-to-Stand Test (FTSTS)
  1. 肘掛けのない高さ45cmの標準的な椅子から立ち上がり、再び座るまでに要する時間を5回、できるだけ早く記録
  2. 練習試行の後、2回のタイムを記録し、その平均値使用

Berg Balance Scale (BBS)
  1. 静的および動的バランスからなる14の機能的課題を0から4までのスケールで採点
  2. 最大で合計56点
  3. BBSのスコアが高いほど、バランス能力が高いことを示唆

TUG(Timed Up and Go Test)
  1. 機能的移動能力は、慢性脳卒中患者において優れた試験-再現信頼性をもたらす
  2. 必要に応じて歩行補助具を使用することが許可
  3. 3回の試行を完了するのに必要な時間をストップウォッチで測定し、平均時間をさらなる分析に使用

活動別バランス自信(ABCスケール)
  1. 日常機能活動を行う際にバランスを維持するための自己認識能力(すなわち、主観的バランス自信)を評価するもの
  2. 本研究では、ABC尺度の中国語版を使用
  3. 尺度は、0から100までの16項目からなり、ABCスコアが高いほど、主観的なバランス自信の高さを示唆
  4. この尺度は、慢性脳卒中患者において良好なテストの再現性を有する

結果

  • 麻痺側と非麻痺側の脚の平均LSUT回数に有意な差は見られなかった
  • LSUT数は、評価者内、評価者間、およびテストの再現性が優れていた
  • 平均LSUT数の検出可能な最小変化(MDC)は1ステップであった
  • LSUT数は、FMA-LEスコア、下肢筋力(股関節外転筋を除く)、FTSTS時間、BBSスコア、TUG時間、ABCスコアと有意な相関があった

まとめ

本研究で紹介したLSUTは、急速なCOM動作と片足立ちを伴うため、バランスプロプリオセプション(固有感覚受容器)が必要となり、CKCでの筋力の指標ともなります。

また筋の様々な収縮様式を用い足関節や膝関節を安定させる必要がありリハビリテーションを行う中で問題点に対する考察の一助になる可能性もあります。

また、今回の報告であったFMA-LEスコア」、「下肢筋力(股関節外転筋を除く)」、「FTSTS時間」、「BBSスコア」、「TUG時間」、「ABCスコア」と有意性があり正の相関も認められており、脳卒中生存者における機能的筋力の臨床評価として用いてみてもいいかもしれません。

今後のリハビリテーションの評価やアプローチの一助になればと思います。

兵庫県宝塚市の訪問リハビリ整体 リ・サンテとは

訪問リハビリ整体リ・サンテは、兵庫県宝塚市にオープンした脳卒中の方や人工関節の手術をされた方、足腰にお悩みを抱えている方を始め様々な方に密着し自宅訪問型のリハビリ整体です。

訪問リハビリ整体の特徴は

自宅を訪問させて頂き病院で行われるリハビリと整体院で行われる施術の要素を併せ持つ生活に密着した業界初の生活圏全般をサポートする”整体院となっています。

リハビリ整体リ・サンテには医療機関で脳卒中後のリハビリや、人工関節の術後、骨折後などの身体を回復させるためのリハビリに従事し、高齢者のフレイル対策介護予防転倒予防の研修を受けた理学療法士(国家資格)の資格を持ったスタッフが在籍しています。

ここで培った知識を生かし、自宅を訪問させて頂き、皆さんのお悩み事をを解決するために一人一人の身体の状態を把握し完全個別式のリハビリ&整体サービスを提供しています。

当整体院では単なる『マッサージ』や『筋力トレーニング』だけで終わらず、最新の予防医学をもとに個人個人のお身体に合わせたプログラムを作成し60分間完全マンツーマンで施術させて頂きます。

※お身体の関節筋肉の状態、バランス能力数値化し、そのデータは後日グラフを作成しお渡しさせて頂きお身体についてお伝えさせて頂きます。

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