この投稿は、『~兵庫自費訪問リハビリ整体リ・サンテ宝塚~』が脳卒中や骨折、人工骨頭の手術後のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防に興味がある方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればなと思っています。
加齢に伴い、様々な臓器やシステムの機能性、筋肉量や筋力の低下により身体機能が低下します。
認知機能においては、加齢は脳組織と機能の低下によって特徴付けられ、他の機能の中でも特に処理速度、ワーキングメモリー、エピソード記憶の低下を誘発します。
この過程を通して、虚弱、日常生活における機能的自立度の低下、QOLの低下をもたらします。
移動の制限は、住宅に住む高齢者に高い有病率を持っており、居住施設で暮らす高齢者は身体運動不足の有病率が高く、施設の運動プログラムへの参加レベルが低い傾向があるとされています。
今回は、「弾性バンドを用いた上半身と下半身のレジスタンス運動「施設入所高齢者の認知と身体機能に対する効果」とは」についてと言うテーマでお送りしていきたいと思っています。
弾性バンドを用いた上半身と下半身のレジスタンス運動「施設入所高齢者の認知と身体機能に対する効果」とは
本日紹介する論文
研究の目的
上半身や下半身だけのプログラム参加で、全身機能や認知機能などの健康関連全般に効果があるのか、また、それぞれの部位に焦点を当てた場合の効果に違いがあるのかを分析した研究は少ない。
●本研究の目的は、施設入所高齢者の認知機能および身体機能に対する、上半身と下半身に焦点を当てた2つのレジスタンス運動プログラムの差異効果を分析すること。
対象
●合計68名(平均年齢83.2±8.3歳、女性65%)が研究に参加。
そのうち、20名がG1、29名がG2、19名がCGに割り当てられた
※身体評価や運動遂行を妨げる可能性のある健康状態は、除外基準
方法
試験デザイン
2つの実験群と対照群を設定した多施設共同比較・クロスオーバー試験。
実験方法
プログラムは週3日、50分のセッションで行われ、すべてのセッションは、アクティベーション、メインパート、クールダウンの3つの別々のフェーズで構成。
- 第1センターと第2センターで希望する住民をそれぞれ実験グループ1(G1)、2(G2)とし、各グループのプログラムを無作為に割り当て。
- 第3センターの参加者は対照群とした。
- 両実験群とも、低強度(黄色)のゴムバンドを使ったレジスタンス運動を行った。バンドは、50%の伸長で0.8kg、100%で1.3kg、150%で1.8kg、200%で2.2kg、250%の伸長で2.6kgの抵抗を与えるものである。
- 実験グループ1(G1)
- 第1段階では上半身に焦点を当てたレジスタンス運動プログラムを3ヶ月間実施。その後、さらに3ヶ月間のトレーニング解除期間を設けた。
- 第2段階として、下半身を中心としたレジスタンス運動プログラムを3ヶ月間実施し、その後、トレーニング解除とフォローアップを3ヶ月間行った。
- 実験グループ2(G2)
- 第1段階では下半身に焦点を当てたレジスタンス運動プログラムを3ヶ月間実施。その後、さらに3ヶ月間のトレーニング解除期間を設けた。
- 第2段階として上半身に同じプログラムを実施し、最後にフォローアップを実施。
- 対照群(CG)は、実験群と同じタイミングに従い、上半身と下半身のストレッチ運動を含む同一の柔軟性運動プログラムを両フェーズで実施。
アウトカム
ベースライン評価(T0)は、介入開始の2週間前に行われた。12週間の最初の介入後、別の評価が行われた(T1)。
12週間後、2回目の介入の前に3回目の評価(T2)が行われた。
2回目の介入12週間後、4回目の評価が行われた(T3)。
さらに12週間の無介入の後、フォローアップの評価が行われた。
- Mini-Mental State Examination(MEC)のスペイン語版。
- MECのスコアの1.6-2ポイントの変化は、臨床的に意味があると考えられている。
- トレイル・メイキング・テスト(TMT)。
- 参加者がパートBを完了することが困難であったため、パートAのみが実施された。
- Fototestで、画像の自由再生と手がかり再生による記憶、実行機能(すなわち、言葉の流暢さ)、および分節(すなわち、言語)を評価するために使用。
- 得点が高いほど認知機能が優れており、最高得点はない。また、この検査は、良好な基準妥当性と高い信頼性を示している。
- Timed Up and Go Test(TUG)。
- このテストは非常に信頼性が高く、その結果は転倒のリスクと関連。
- 0.9~1.4秒の変化はCOPDの高齢者において臨床的な関連性があることが示唆されてる。
- Chair Sit and Reach (CSR)
- 脚の後部の筋組織の柔軟性の評価。
- 椅子の縁に座り、片足を完全に伸ばした状態で、参加者は両手の第3指と足の先端の距離を測定する。このテストは、良好な信頼性と基準妥当性を示している。
- バックスクラッチ(BS)テスト
- 上半身の可動性を測定するために広く使用。
- 立ったまま、片方の腕を頭の後ろに、もう片方の腕を腰から、両手を背中で触れるようにする。
- 手の握力(HG)
- セーハンのハンドヘルドダイナモメーターを用いて、立ったまま、腕を完全に伸ばして装置を持ち、体に沿って、両手を2回に分けて評価し、最も高い値を解析に使用。
- 全身強度、骨密度、転倒リスク、認知障害、うつ病、虚弱、病的状態、死亡率に強く関連しており 、握力の臨床的に意味のある変化については5.0〜6.5kgという値が示唆されている。
結果
- 上半身プログラムでは、グローバルな認知機能の有意な向上を認めた。
- 上半身と下半身の両方のプログラム後に、TMT-Aによって評価されるこの領域で有意な改善を認めた。
- Phototest、記憶、言語流暢性で評価される領域については、改善は見られなかった。
- 抵抗運動を実施した2つのグループは、MECテストによって評価した認知のグローバルレベルを、研究期間中(T0からT4まで)維持したのに対し、対照群では有意な悪化が見られたことである。
- 最初の介入後、上半身プログラム実施群は下肢の柔軟性が有意に悪化し、下半身プログラム実施群は手の握力が有意に改善した。
- 筋力トレーニングに弾性バンドを使用した最近の研究では、介入を通じて異なる弾性バンドを使用することで負荷の進行を確立した中強度のプログラムを実施し、12週間のトレーニング後にCSRの有意な改善をもたらしました。
- マニュアルダイナモメトリーで測定した筋力の結果は、上半身プログラムを実施したグループでは改善が見られなかったが、下半身プログラムを実施したグループでは改善が見られた。
- 下肢のみのプログラムを用いた研究ではTUGに有意な改善が見られた。
まとめ
今回は『弾性バンドを用いた上半身と下半身のレジスタンス運動「施設入所高齢者の認知と身体機能に対する効果」とは』について、ご紹介させて頂きました。
弾性バンドを用いて、上半身でを中心に筋力運動を行う場合に、認知機能に対し急性効果が期待でき、下半身を使った運動は、一般的な筋力の向上につながる可能性があり、施設入所高齢者の認知機能および機能的自立に有益な効果があったとされています。
施設で働いている理学療法士の方はもちろん、訪問リハビリや、病院で働いているセラピストの方々の治療・アプローチへの一助になればと思います。
皆さんで少しでも元気で自立した高齢者を増やしましょう!
兵庫県宝塚市の訪問リハビリ整体 リ・サンテとは
訪問リハビリ整体リ・サンテは、兵庫県宝塚市にオープンした地域の高齢者を始め様々な方に密着し転倒予防や介護予防を目的とした自宅訪問型のリハビリ整体です。
当整体院では兵庫県宝塚市の高齢者の方を始めとし、介護予防、転倒予防、体のケアを目的に筋力やバランス能力向上、動作指導を行う自費(保険外)のリハビリ訪問整体です。
自宅を訪問させて頂き病院で行われるリハビリと整体院で行われる施術の要素を併せ持つ生活に密着した‟業界初の生活圏全般をサポートする”整体院となっています。
訪問リハビリ整体リ・サンテには医療機関で高齢者の身体を回復させるためのリハビリに従事し、高齢者のフレイル対策や介護予防、転倒予防の研修を受けた理学療法士(国家資格)の資格を持ったスタッフが在籍しています。
ここで培った知識を生かし、高齢者の介護・転倒予防、運動不足解消を目的に自宅を訪問させて頂き、高齢者一人一人の身体の状態を把握し完全個別式のリハビリ&整体サービスを提供しています。
当整体院では単なる『マッサージ』や『筋力トレーニング』だけで終わらず、最新の予防医学をもとに個人個人のお身体に合わせたプログラムを作成し60分間完全マンツーマンで施術させて頂きます。
※お身体の関節や筋肉の状態、バランス能力を数値化し、そのデータは後日グラフを作成しお渡しさせて頂きお身体についてお伝えさせて頂きます。
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