脳卒中後数週間から数年経過すると歩行の対称性と速度は変化するのか?

論文情報

この投稿は、~兵庫高齢者特化型の介護予防・転倒予防~訪問リハビリ整体リ・サンテ宝塚が高齢者のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防に興味がある方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればなと思っています。

脳卒中による歩行機能障害は、最も多く報告される制限であり、自立、生活の質、参加に大きな影響を与える可能性があります。

また一般的には、歩行は脳卒中後3~6ヶ月で改善し、その後停滞すると言われています。慢性期脳卒中患者(1年以上継続)に対するリハビリテーション介入により、自立度、歩行速度、歩行距離の向上が見られたが、3~9ヶ月後の追跡調査では、これらの向上が失われることもあると言われています。

リハビリテーションの効果が持続するかどうかは、麻痺側をどれだけ使用し生活を行っているかが重要となってきます。

今回は、「脳卒中後数週間から数年までの歩行の対称性と速度は変化するのか?」についてと言うテーマでお送りしていきたいと思っています。

少しでも今後のアプローチ考え方のやの一助になれればと思います。

脳卒中後数週間から数年までの歩行の対称性と速度は変化するのか?

本日紹介する論文

研究の目的

本研究の目的は歩行に特化した指標(速度と対称性)を用いた横断的研究を用いて、長期にわたって脳卒中後の歩行が悪化するのかどうかを調査すること。

対象

  • 合計で171人
  • グループの平均:年齢は63.2歳
  • 片側脳卒中(出血性または虚血性)の初発の方
  • 脳卒中後の平均期間:23.3カ月
  • 介助や歩行補助具を使わずに地上での歩行の課題を完了した方
  • 60名が女性で、82名が右半身麻痺を呈していた

方法

●脳卒中後『0~3ヶ月』、『3~12ヶ月』、『12~24ヶ月』、『24~48ヶ月』、『48ヶ月以上』の5つのグループに割り振った。

●測定法データベースには、臨床的および実験的な歩行評価が含まれている。

●臨床評価は、2つの脳卒中特有の尺度を使用

①米国国立衛生研究所脳卒中尺度(NIHSS)

②Chedoke McMaster Stroke Assessment(CMSA)

米国国立衛生研究所脳卒中尺度(NIHSS)

NIHSSは、脳卒中に関連する神経障害の指標であり、この指標の信頼性と妥当性は確立されている。

意識、眼球運動、顔面神経麻痺、四肢筋力、失調、知覚、言語などの15項目から構成され、42点満点で点数が大きいほど重症になります。

※呉における脳梗塞超急性治療(t-PA)の実態から引用

Chedoke McMaster Stroke Assessment(CMSA)

CMSAの脚部と足部の測定(それぞれ7点スケールで測定)は、運動障害の指標として用いられ、得点が低いほど、運動障害が大きいことを示す。

CMSAは、Fugl-Meyer評価と良好な同時妥当性を持っており、評価者内および評価者間の信頼性も良好である。

歩行の時空間パラメータ

感圧マット(GAITRite, CIR Systems, Clifton, NJ)を用いて測定。

アプリケーションソフトウェアを用いて空間的・時間的パラメータを計算。

参加者は、マットの前後150cmの位置から歩き始め、感圧マットの上の水平な歩道を、好みの快適な速度で歩く。

合計3回の歩行試験を記録。

歩行対称性の計算

すべての時空間値は3回の歩行試行で平均化された。

3つの歩行対称性尺度(2つの時間的および1つの空間的)は、3回の歩行試行で平均化された左右の肢からの時空間値の比率として計算した(時間は秒、長さはセンチメートルで報告した)。

時間的対称性
  • スイングタイム対称=スイングタイムが大きい/スイングタイムが小さい
  •   スタンスタイム対称=スタンスタイムが大きい/スタンスタイムが小さい
空間的対称性
  • ステップ長の対称性=ステップ長が大きい/ステップ長が小さい

対称比が負の場合は、非麻痺値(すなわち、遊脚時間、立脚時間、歩幅)が大きいことを示し、対称比が正の場合は、麻痺値が大きいことを示している。

結果

『遊脚時間』、『立脚時』、『歩幅の非対称性』が脳卒中後期間長い程悪化する

歩行速度、神経学的障害、運動障害は、脳卒中後のステージ間で同じ系統的な違いを示さなかった

時間的・空間的対称性:(A)スイングタイム
対称性(F = 13.71; P < .Ol)。(B)スタンス時間の対称性(F =
10.34; P < .01).(C)ステップ長の対称性(F = 7.27; P < .01)”「脳卒中後の各群における対称性の平均値は、時間的非対称性と空間的非対称性において、群間で有意な線形傾向を示した。負の値は非麻痺性下肢の方向への非対称性を示し(すなわち、非麻痺性の値が大きい)、正の値は、非麻痺性下肢の方向への非対称性を示す。
歩行速度:各時刻の歩行速度の平均値脳卒中後期の主効果はなく(F = 1.36;P = 0.25)、有意な線形傾向は見られなかった(F = 1.27; P = 0.36)。
神経学的欠損:各時間群における米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)スコアの平均値を示す。
脳卒中後期の主効果は有意であったが(F = 4.38; P < .0l)、脳卒中後期の主効果はなかった。有意な線形傾向は見られなかった(F = 2.48; P = . 12)。群間の有意差はアスタリスクで示し、エラーバーは標準誤差を示す。
下肢運動障害:Chedoke-McMaster Stroke Assessment(CMSA)の平均値。 A)各時間帯の脚のスコア。(B)各時間群の足のスコア’パートAは、脳卒中後の主効果が有意でないことを実証しているグループ(F = 2.58; P = I I)、有意な線形傾向は見られなかった(F = 0.05; P = .82)。
パートBでは、脳卒中後遺症の主効果が有意であることを示す。
CMSAフットスコア(F = 2.45; P = 05)しかし、線形傾向はなかった(F = 3.20; P = ,08)。
群間の有意差はアスタリスクで示し、エラーバーは標準誤差を示す。

まとめ

今回紹介した研究では『脳卒中後の運動障害は一定であり歩行速度が安定しているにも関わらず、歩行非対称性が悪化する』ことが分かりました。

●ある研究では健康な成人の歩行相(例えば、立脚相、両支持相)のタイミングは、性別や年齢に関係なく一定であることが分かっています 。さらに、同一人物で速度に変化がないことから、非対称性の増加は、より一般的な加齢による歩行能力の低下であるという見解とは矛盾します。

●脳卒中後期と非対称性の方向との間には有意な交互作用があり、脳卒中後の段階によって、時間的対称性と空間的対称性が異なることは、歩行の別々の特徴を測定する可能性が示唆されます。

また、この歩行非対称性が運動障害の代償として出現しているのであれば、今回のCMSAスコアが同じように悪化するはずですが、今回の研究ではそのような結果は見られていません。

よって脳卒中後の歩行非対称性に対しアプローチを行う際、加齢による歩行能力の低下や運動機能障害のみでの解釈だけではなく、歩行パラメータの評価も行い関連性をより深く理解する必要性があります。

兵庫県宝塚市の訪問リハビリ整体 リ・サンテとは

リハビリ整体リ・サンテは、兵庫県宝塚市にオープンした地域の高齢者を始め様々な方に密着し転倒予防介護予防を目的とした自宅訪問型のリハビリ整体です。

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自宅を訪問させて頂き病院で行われるリハビリと整体院で行われる施術の要素を併せ持つ生活に密着した業界初の生活圏全般をサポートする”整体院となっています。

リハビリ整体リ・サンテには医療機関で高齢者の身体を回復させるためのリハビリに従事し、高齢者のフレイル対策介護予防転倒予防の研修を受けた理学療法士(国家資格)の資格を持ったスタッフが在籍しています。

ここで培った知識を生かし、高齢者の介護・転倒予防、運動不足解消を目的自宅を訪問させて頂き、高齢者一人一人の身体の状態を把握し完全個別式のリハビリ&整体サービスを提供しています。

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