この投稿は、『~兵庫高齢者の介護予防・転倒予防特化型~ 訪問リハビリ整体院リ・サンテ宝塚』がいつまでも自分の足で歩き、元気に生活をしたい!と本気で思っている皆様にお身体について知らないことや気付いていないこと、運動方法や生活でのアドバイスとなるような情報を発信します。
今回は、「どのように息をしているの?呼吸器の構造と役割~基本編~」と言うテーマでお伝えします。
高齢となる中で呼吸器である肺はどんな影響となるか気になりませんか?
そこで今回は、『呼吸器の構造と機能について』について研究報告や医学書籍をもとに高齢者の方でも分かりやすく簡単にご紹介させて頂きます!
どのように息をしているの?呼吸器の構造と役割~基本編~
呼吸器の構造について
呼吸器とは空気の通り道である気道 (上気道,下気道)とガス交換の場である肺胞 (呼吸部)で構成されています。
呼吸器に属する器官として上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)。下気道(気管、気管支)、肺があげられます。
気管支について
気管支は右と左にの気管支に別れます。
左気管支は心臓があるため細長く、分岐する角度も大きいのが特徴です。
右気管支は左と比べ太く、分岐角度が小さいのが特徴です。
この特徴により
誤飲したものは右気管支に落ちやすく、誤嚥性肺炎は右の肺で生じやすいとしれてます。
気管支は更に細気管支、肺胞道と言うように分岐していきます。肺胞道の先端には大きな袋状の部分に小さい小部屋のような構造をした物があります。大きな袋状の物を肺胞嚢(はいほうのう)といい、小部屋の部分が肺胞となります。
肺胞について
肺胞は直径0.2㎜ほどの小さな袋であり、その周囲を肺動脈や肺静脈とつながる毛細血管が豊富に取り巻きます。
この肺胞と毛細血管により酸素と二酸化炭素の交換をおこなっています。
一般的な動脈は酸素が多く、静脈には二酸化炭素が多いが、
肺動脈には二酸化炭素が多く、肺静脈には酸素が多いと言った特徴がある。
肺の構造
正面から見るとこのように分かれます。
右肺には大きく3つに分かれ上葉・中葉・下葉に分かれ、左肺は上葉と下葉の2つに分かれます。
また肺には区域別に分かれており、その区域に対応した気管支の区域も存在しています。
※疾患によってはこの区域により好発部位があります。
胸郭の構造
胸郭は胸骨、肋骨、肋軟骨、胸椎で構成されており、心臓や肺を包むカゴのような構造をしています。
この胸郭が自由に広がったりしぼんだりすることで肺に空気が入ることができます。
この高齢者に多くみられる『円背』といった姿勢の変化などにより胸郭が固くなると空気が取り込めない状態になります。
胸郭の動き
呼吸時の胸郭の動きは部位により動きが異なります。
この動きは『バケツハンドルモーション』と『ポンプハンドルモーション』に分けることができます。
ポンプハンドルモーションとは
息を吸うときに1から6本目の肋骨(上位肋骨)と胸郭を中心に前上方へ広がるような動きを行います。
この動きがポンプの取ってのように上下に動くことによりポンプハンドルモーションとわれます。
バケツハンドルモーションとは
息を吸うときに7から10本目の肋骨(下位肋骨)は外へ広がるような動きを行います。
この動きはバケツの取ってのように横から開くように動くことによりバケツハンドルモーションと言われます。
第11と12肋骨はキャリパーモーションと言われ横に広がる動きとなります。
呼吸筋について
呼吸筋とは横隔膜、肋骨の間にある内肋間筋、外肋間筋、などを総称した呼び名となっています。
呼吸運動で1番重要なのは横隔膜です。
なぜかと言うと、
横隔膜は『息を吸うとき』は収縮し『吐くとき』は緩んだりと両方に関与しているからです。
また安静時に『息を吸うとき』は横隔膜と外肋間筋が収縮しますが、『息を吐くとき』は横隔膜や外肋間筋が緩むことと肺の弾性力によりおこなわれ、息を吐くときは筋肉の活動がないのが特徴です。
しかし自分の意志で大きく呼吸をする場合は…
斜角筋、僧帽筋、胸鎖乳突筋、内腹斜筋などの補助呼吸筋と言われる筋肉も使われることになります。
呼吸運動のメカニズム
呼吸には息を『吸う』ときと『吐く』ときで運動が異なります。
息を吸うときは横隔膜が収縮し下に下がり、外肋間筋が収縮し肋骨を前上方に引き上げることで胸郭が広がり陰圧状態となます。
これにより外からの空気が肺に流入し肺が広がることになります。
息を吐くときは下に下がっている横隔膜や広がった胸郭、肺が元に戻ろうとする力である『弾性力』を用いることで空気が肺から排出されます。
筋肉の働きが少なく大きなエネルギーは必要としません。
運動時や正常の呼吸運動を行えない場合は、呼吸補助筋を過剰に働かせるため、多大なエネルギーを必要とします。
肺の機能について
肺の機能には『換気』、『ガス交換』、『pH調整機能』があります。
換気とは
呼吸を繰り返し、『外の空気と肺への空気の出入りを行う過程』の事を言います。
肺の中に入ってくる空気の量(1回換気量)は安静時には成人で約500mlと言われています。
しかし、これには後述するガス交換に関与しない気道(解剖学的死腔150ml)も含まれています。
このことから実際に肺胞に到達しガス交換に関与する量(肺胞換気量)は
500ml(1回換気量)-150ml(解剖学的死腔)=350ml(肺胞換気量)
となります。
この換気量は①呼吸筋の筋力、②胸郭や肺の弾性力(コンプライアンス)、③気道抵抗の3つの影響を受けると言われています。
ガス交換について
ガス交換とは、『換気によって肺胞内には新鮮な空気が送り届けられ、肺胞と肺胞を取り囲んでいる毛細血管内の血液との間で酸素と二酸化炭素の交換を行うこと』を言います。
このガス交換を効率よく行うために『拡散』と言う現象と『換気血流比』の影響があります。
拡散
肺胞での拡散は、『肺胞の酸素分圧が100Torr』と『血液中の酸素分圧45Torr』の分圧差により酸素が肺胞から血液に移動することで生じます。
また『肺胞の二酸化炭素分圧40Torr』と『血液中二酸化炭素分圧45Torr』の分圧の差により二酸化炭素は血液中から肺胞に移動します。
ガス交換を行う場所は外呼吸と内呼吸に分けられます。
換気血流比
ガス交換を正常に行うにはガス交換単位(肺胞とそれに対する毛細血管)で換気と血流のつり合いが取れている必要があります。
これを換気血流比と言います。
しかし、実際では重力の影響でガス交換単位における換気血流比は部位ごとに異なっている(生理的換気血流比不均衡)ためガス交換の効率が低下してしまいます。
pH調整機能とは
pHとは水溶液中の水素イオン(H⁺)の濃度を示し、『体内の血液の状態が酸性かアルカリ性』であるかを示すものです。
pHは代謝により多量の揮発性酸である二酸化炭素と不揮発性酸である乳酸、リン酸、ケトン体などのために酸性に傾きやすい状態となっています。
しかしpHは7.40±0.05に保たれており、この範囲を超えると身体に異常をきたします。
pH7.35より数値が低い場合をアシデミア、高い場合をアルカミレアと言われ生命活動に支障をきたす状態となります。
pHの調整には重炭酸緩衝系と言う働きが重要な働きをしています。
『呼吸による揮発性酸の排出』と『腎臓による尿での不揮発性酸の排出』を行いpHの変動を調節しています。
呼吸の調整はどう行っているのか
呼吸を行うための中枢は延髄に存在し大脳や橋(きょう)などの様々な場所からの情報を統合し呼吸の調整を行っています。
呼吸中枢の活動は、発声や情動、睡眠覚醒などの上位中枢からの入力や痛み刺激、歩行運動の触覚刺激などの脊髄からの刺激により影響されます。
呼吸の調整は意識的な調整と無意識的な調整があり、普段の呼吸は無意識的にコントロールされています。
呼吸の調整は意識的な調整である『行動性調整』、無意識的な調整である『化学的調整』、『反射による調整』の3つに分けられます。
行動性調整
行動性調整では、会話や発声、情動など上位中枢(大脳)で意識的に調整する方法です。
化学的調整
化学的調整には中枢性化学受容器と末梢性化学受容器に分かれます。
『中枢性化学受容器』は延髄の腹側野と言う場所にあり、動脈血の二酸化炭素の割あり(二酸化炭素分圧)が上昇し、脳脊髄液内のpHが低下した場合に呼吸中枢を刺激して呼吸を促進させます。
『末梢性化学受容器』は総頸動脈の分岐部にある頸動脈小体と大動脈弓の存在する大動脈小体が存在し、血液中の酸素の割合(酸素分圧)の低下により呼吸中枢を刺激し呼吸を促進させます。
反射による調整
下気道や肺には、肺の膨らみ(伸展)を感知する伸展受容体が存在しています。
伸展受容体で肺の膨張を感知すると迷走神経と言う神経を介して吸息を抑制し、肺の過膨張による損傷を防ぐために、吸息から呼息への切り替えを行います。
この切り替えを行う反射をHering-Breuer(へーリング‐ブロイヤー)反射と言います。
呼吸状態の検査方法
呼吸機能検査とは手術の前などに行われます。
何を調べるかと言うと肺気量分画(はいきりょうぶんかく)を調べることが多いです。
肺気量分画とは肺に出入りする空気の測定値の総称です。
〖各項目の説明〗
1回換気量(TV):1回の呼吸で肺に出入りして移動する空気の量
予備吸気量(IRV):普通に息を吸ったところから更に努力して息を吸うことのできる量。
予備呼気量(FRC):普通に息を吐いたところから更に努力して息を吐くことのできる量。
最大吸気量(IC):安静時から最大に息を吸った状態までの空気の量。
機能的残気量(FRC):安静時、息を吐いた後に肺に残る空気の量。
肺活量(VC):息を最大限吸い込み、その後最大限息を吐いた時の空気の量。
残気量(RV):最大限息を吐いても肺の中に残っている空気の量。
総肺気量(TLC):肺活量に残気量を足したときの空気の量。
最後に
今回は呼吸器系の解剖学や生理学と言った基本的な内容を簡単にまとめさせて頂きました。
呼吸器は呼吸を行うだけでなく、心臓や腎臓と密接な関係があります。1つの臓器での機能が障害されると他の臓器にも影響を及ぼす危険が高くなります。
普段生活するうえであまり重要ではない知識と思われる方もいると思いますが、生命を維持する上でとても重要な場所となります。
このような基本的な知識を身に着けて頂くことで病院などで説明を受ける際も理解しやすいかなと思います。
参考文献
・岡庭 豊:病気が見えるvol.4 呼吸器 第1班 医療情報学研究所.8.26.2010
・荒田 晶子:呼吸の意識・無意識の切り替え─発声・呼吸モードスイッチング機構─.自律神経 56 巻 1 号 p.14-18.2019 年
・伊藤 広貴他:呼気および吸気時CT画像に基づく胸郭運動モデルの構築.Med Imag Tech Vol.29 No.4 September 2011
・石川 朗他:理学療法テキスト 内部障害理学療法士学 呼吸 第2班.p14〜23.3.22.2017
湯澤 基, 山口 泰弘:呼吸機能検査の理解と臨床応用.日本内科学会雑誌.109巻12号p.2496-2501.2020
兵庫県宝塚市の訪問リハビリ整体 リ・サンテとは
リハビリ整体リ・サンテは、兵庫県宝塚市にオープンした地域の高齢者を始め様々な方に密着し転倒予防や介護予防を目的とした自宅訪問型のリハビリ整体です。
当整体院では兵庫県宝塚市の高齢者の方を始めとし、介護予防、転倒予防、体のケアを目的に筋力やバランス能力向上、動作指導を行う自費(保険外)のリハビリ訪問整体です。
自宅を訪問させて頂き病院で行われるリハビリと整体院で行われる施術の要素を併せ持つ生活に密着した‟業界初の生活圏全般をサポートする”整体院となっています。
訪問リハビリ整体リ・サンテには医療機関で高齢者の身体を回復させるためのリハビリに従事し、高齢者のフレイル対策や介護予防、転倒予防の研修を受けた理学療法士(国家資格)の資格を持ったスタッフが在籍しています。
ここで培った知識を生かし、高齢者の介護・転倒予防、運動不足解消を目的に自宅を訪問させて頂き、高齢者一人一人の身体の状態を把握し完全個別式のリハビリ&整体サービスを提供しています。
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※お身体の関節や筋肉の状態、バランス能力を数値化し、そのデータは後日グラフを作成しお渡しさせて頂きお身体についてお伝えさせて頂きます。
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