介護施設での転倒予防、成功のカギは ‘この運動’ だった!

論文情報

この投稿は、~兵庫自費訪問リハビリ整体リ・サンテ宝塚~』が脳卒中や骨折、人工骨頭の手術後、腰痛のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防に興味がある方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればと思っています。

皆さん!

高齢になると転びやすくなる」とよく聞きますが、実際に転倒は骨折や寝たきりの原因となり、健康寿命を縮める大きなリスクです。

では、どうすれば転倒を防げるのでしょうか?

最新の研究によると、ある運動を取り入れることで転倒リスクを大幅に減らせることがわかっています。

本記事では、その効果的な方法をご紹介します。

介護施設での転倒予防、成功のカギは ‘この運動’ だった!

本日紹介する論文

参考文献

Effective fall prevention exercise in residential aged care: an intervention component analysis from an updated systematic review.2024

研究の目的

高齢者施設(Residential Aged Care, RAC)における転倒予防運動プログラムの有効性を検証し、その成功要因を特定すること

特に、『転倒予防に効果的な運動プログラムの要素を特定し、高齢者施設での実践に適用可能なエビデンスを提供すること』を目的

方法

Cochraneレビューの更新版として、RCTのデータを収集・分析した。主要なデータベース(CENTRAL、MEDLINE、Embase、CINAHL)を用いて2022年12月までの関連研究を検索し、以下の基準で試験を選定

試験選定基準

• 対象:65歳以上の高齢者施設居住者

• 研究デザイン:RCTまたはクラスターRCT

• 介入:運動を主とする転倒予防プログラム

• 対照群:通常ケアまたは無介入群

• 主要評価項目:転倒率または転倒リスク

介入要素分析(Intervention Component Analysis, ICA)

ICAは、運動介入の成功要因を特定するための分析手法であり、以下の手順で実施された

  1. 各RCTの研究デザイン、対象者の特徴、運動の種類、転倒予防効果を整理
  2. 研究者が成功要因と考える要素を抽出し、コード化
  3. 介入の特徴ごとにテーマを分類
  4. 介入要素と転倒予防効果の関連を分析し、転倒を減少させる要因の理論モデルを構築

対象

本研究では、合計32件のRCT(参加者数3,960名)を分析対象とし、そのうち17件の試験(参加者数3,293名)をICAの対象

対象

• 高齢者施設に入居する65歳以上の高齢者

• 転倒歴の有無を問わず参加可能

• 認知機能障害を有する者(57%)、移動障害を有する者(41%)を含む

除外基準
  • 30名未満の参加者しかいない試験(小規模試験によるバイアスを回避)
  • 転倒リスクを主要評価項目としていない試験

介入方法

運動プログラムの特徴

  • バランス・筋力トレーニング(35の介入群のうち18件, 51%)
  • 個別化運動(20件, 63%):個々の能力に応じた調整
  • 運動強度:
    ・中程度(47%)
    ・低強度(44%)
    ・高強度(9%)
  • 指導者:
    ・理学療法士(41%)
    ・他の医療専門職(9%)
    ・訓練を受けた非専門職(44%)

運動の頻度・期間

  • 週2〜3回
  • 1回25〜48分(中央値:33分)
  • 試験期間4〜104週間(中央値:12週間)

運動の形式

  • 監視付きグループ運動(59%)
  • 個別運動(41%)

比較

対照群は通常ケア群であり、低強度の運動(座位での関節可動域運動など)や、運動を伴わない社会的活動が含まれていた

結果

ICAの結果、転倒を予防するための運動には以下の特徴が重要であることが示唆された

  1. 適切な運動の提供
    • バランス・筋力トレーニングが含まれること
    • 個々の能力に応じた調整(個別化)がなされること
    • 中程度の運動強度であること
  1. 十分な資源の確保
    • 定期的な指導と監督があること(週1.8時間以上の実施)
    • 運動プログラムの構造化(計画的な運動スケジュール)
    • 運動の社会的要素(グループ運動の実施)

転倒予防効果

• 転倒を有意に減少させた試験(8件)
 バランス・筋力トレーニング + 中程度の運動強度 + 個別化

• 転倒予防効果が不明確な試験(9件)
 低強度または運動の個別化なし

• 転倒を増加させた試験(2件)
 不適切な運動強度(低すぎる/高すぎる)

まとめ

転倒予防には、バランスと筋力を強化する個別調整された運動が最も有効である。

中程度の強度で、監督付きの構造化されたプログラムが成功しやすい。

専門スタッフや設備を確保し、週3回以上・合計30時間以上の運動を提供することが重要である。

グループ運動による社会的交流が継続率の向上に繋がる。

理学療法士としての臨床応用

本研究で効果が示唆された転倒予防のためのトレーニングは、大きく以下の3つの要素を組み合わせたプログラムが中心となっています

バランストレーニング(静的・動的)

目的:立位や歩行時の安定性を向上させ、転倒のリスクを低減する
具体的なエクササイズ:
• 片足立ち(10〜30秒 × 3セット)
• タンデム歩行(かかとをつけるように一直線上を歩く)
• 不安定な環境での立位訓練(クッションや不安定な床上での立位保持)
• 重心移動練習(左右・前後にゆっくり体重移動)
• 方向転換トレーニング(急に向きを変える歩行)

筋力トレーニング

目的:下肢の筋力を向上させ、歩行能力や立ち上がり動作を安定させる
具体的なエクササイズ:
• スクワット(イスからの立ち上がり)(5〜10回 × 3セット)
• カーフレイズ(つま先立ち)(10回 × 3セット)
• ヒップアブダクション(横に足を開く)(ゴムバンド使用も可)
• レッグエクステンション(膝伸ばし)(座位で片脚ずつ伸ばす)
• ブリッジ(仰向けでお尻を持ち上げる)

機能的トレーニング(動作パターン改善)

目的:日常生活動作(ADL)の向上と転倒リスクの軽減
具体的なエクササイズ:
• 床からの立ち上がり練習
• 階段昇降トレーニング
• 障害物を避ける歩行練習
• 椅子からの立ち座りを繰り返す
• デュアルタスク(歩きながら計算や会話をする)

追加の運動(推奨)

  • 太極拳(Tai Chi):全身のバランスを調整し、転倒予防に有効
  • ウォーキングプログラム:歩行能力を維持し、持久力を向上
  • ストレッチ(柔軟性向上):可動域を広げ、関節の動きをスムーズにする

実施のポイント

  • 中程度の強度(適度に息が上がるレベル)で行う
  • 1回30分程度、週2〜3回の頻度で継続する
  • 個別に調整(参加者の能力に応じた負荷設定)が重要
  • グループセッションを取り入れると運動継続率が向上する

このようなトレーニングをバランスよく組み合わせることで、高齢者施設における転倒リスクの低減が期待できるとされています。

兵庫県宝塚市の自費訪問リハビリ整体 リ・サンテとは

自費訪問リハビリ整体リ・サンテは、兵庫県宝塚市にオープンした脳卒中の方や人工関節の手術をされた方、足腰にお悩みを抱えている方を始め様々な方に密着し自費(保険外)での自宅や施設への訪問型のリハビリ整体です。

自費訪問リハビリ整体の特徴は

自宅や施設を訪問し病院で行われるリハビリと整体院で行われる施術の要素を併せ持つ生活に密着した業界初の生活圏全般をサポートし生活の質の向上を目的とした”自費リハビリ施設となっています。

リハビリ整体リ・サンテには医療機関で脳卒中後遺症の方や、人工関節の術後、骨折後などの身体を回復させるためのリハビリに従事し、高齢者のフレイル対策や介護予防、転倒予防の研修を受けた理学療法士(国家資格)の資格を持ったスタッフが在籍しています。

ここで培った知識を生かし、自宅や施設を訪問させて頂き、皆さんのお悩み事をを解決するために一人一人の身体の状態を把握し完全個別式のリハビリ&整体サービスを提供しています。

当自費リハビリ整体では単なる『マッサージ』や『筋力トレーニング』だけで終わらず、最新の予防医学をもとに個人個人のお身体に合わせたプログラムを作成し30分~60分間完全マンツーマンで施術させて頂きます。

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