この投稿は、『~兵庫自費訪問リハビリ整体リ・サンテ宝塚~』が脳卒中や骨折、人工骨頭の手術後、腰痛のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防に興味がある方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればと思っています。
慢性腰痛(Chronic Low Back Pain: CLBP)は、多くの人が抱える身体的問題の一つであり、日常生活や運動機能に大きな影響を及ぼしています。
特に、CLBP患者は「腰が固まる感じがする」「長時間同じ姿勢を続けると痛みが増す」といった症状を訴えることが多く、これは体幹筋の使い方の変化が関与している可能性があります。
これまでの研究では、CLBP患者は脊柱起立筋(背骨を支える筋肉)の活動が低下する、もしくは過剰に働くことで腰の安定性が変化することが指摘されてきました。しかし、実際にどのように体幹筋の協調運動が変化しているのか、そのメカニズムは明確には分かっていません。
そこで今回は、「腰痛の方は体を動かすときの筋肉の使い方の特徴はどうなのか?」について報告されている論文をご紹介させていただきたいと思います。
腰痛の方は体を動かすときの筋肉の使い方の特徴はどうなのか?
本日紹介する論文
Muscle synergy patterns as altered coordination strategies in individuals with chronic low back pain: a cross-sectional study.2023
研究の目的
『健康な成人とCLBP患者の筋シナジー(筋群の協調的な活動パターン)を比較し、CLBPが体幹筋の協調戦略に及ぼす影響を明らかにすること』
方法
本研究は、PRISMA 2020(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses) に準拠し、事前登録(PROSPERO: CRD42022309937) されたプロトコルに基づいて実施
対象
- 慢性腰痛群
・慢性腰痛を有する成人(女性8名、男性7名、平均年齢20.9±0.7歳)
・3ヶ月以上持続する腰痛、または過去6ヶ月以内に症状の悪化と寛解を 繰り返している人
- 健常群
・年齢および性別をマッチングした健常者(女性8名、男性7名、平均年 齢21.3±0.6歳)
・無痛の健康成人(比較対象)
• 循環器、神経、呼吸器疾患の既往
• 妊娠中または最近の妊娠
• 脊椎手術の既往
• 坐骨神経痛を伴う腰痛
• 医療機関で治療中の腰痛
介入方法
参加者は、以下の11種類の体幹運動および安定性課題を実施。各課題は8回繰り返し、ランダムな順序で実施
- ロッキング後方(Rocking Backward)
- ロッキング前方(Rocking Forward)
- クロスエクステンション右(Cross Extension Right)
- クロスエクステンション左(Cross Extension Left)
- キャット&ドッグ(Cat and Dog)
- 前屈(Forward Bend)
- 側屈右(Side Bend Right)
- 側屈左(Side Bend Left)
- 後屈(Backward Bend)
- 回旋右(Rotation Right)
- 回旋左(Rotation Left)

※Hiroki Saito et al.,2023
データ収集・解析方法
筋電図(EMG)記録
・12の体幹筋(腹直筋、外腹斜筋、脊柱起立筋(L3、Th9、Th1)、広背筋)から表面筋電図(sEMG)を記録
・1000Hzでサンプリング、バンドパスフィルタ(20–450Hz)を適用。
ノイズ除去のため、高周波フィルタ(30Hz)を使用
筋シナジー解析
・非負値行列因子分解(Non-negative Matrix Factorization: NMF)を用いて筋シナジーを抽出
・90%以上の分散説明率(VAF)を達成する基準で分析対象を決定
統計解析
・スカラー積および最大相関係数(rmax)を用いて筋シナジーパターンの類似性を評価
・Mann–Whitney U検定による群間比較を実施し、多重比較補正(Bonferroni補正)を適用
比較と結果
全体的な筋シナジーパターンの構造は、CLBP群と健常群で類似していたが、CLBP群では以下の変化が認められた
1.CLBP群の脊柱起立筋(L3およびTh9)の筋シナジー変化
・ほとんどの個体で同じパターンの筋活動が見られる(p < 0.01) → 筋活動の柔軟性が低下している
・背筋の硬直化や過剰な活動の可能性がある
2.広背筋および外腹斜筋の筋シナジー変化
・個体ごとに異なるパターンの筋活動が見られる(p < 0.05) → 各個体が異なる適応戦略をとっている可能性がある
・特に体幹安定性課題(クロスエクステンション、前屈、側屈)で顕著な変動が見られた
3. 臨床指標との関係
筋シナジーの変化と痛みの強さや恐怖回避信念(TSK)との間に有意な相関はなかった
まとめ
CLBP(慢性腰痛)患者は、脊柱起立筋の働き方が硬直化していて、代わりに広背筋や外腹斜筋を個別に補助的に使っている可能性がある。
1.脊柱起立筋の活動が低下しているわけではないが、使い方が固定化されている(個体差が少ない)
・健常者は状況に応じて脊柱起立筋の使い方を調整するが、CLBP患者はみんな似たような使い方をしている。
→これは、腰を守るために過度に脊柱起立筋を使っている可能性がある(腰の硬直化)
2.広背筋・外腹斜筋の働き方はバラバラになっている(個体差が大きい)
CLBP患者では、広背筋や外腹斜筋の活動パターンが個々で違っていた。
これは、腰を安定させるために、個人ごとに異なる補助的な筋の使い方をしている(代償戦略)。
→CLBP患者は、脊柱起立筋を過度に使いすぎる傾向があり、その結果、腰が硬直し、動きのバリエーションが少なくなっている。その影響で、腰を動かすときに広背筋や外腹斜筋を個々のやり方で使ってカバーしようとしている。
よって慢性腰痛の持続や再発の原因になっている可能性がある。
理学療法士としての臨床応用
- 脊柱起立筋の過剰な硬直を和らげ、柔軟に使えるようにするトレーニングが必要があり、また広背筋や外腹斜筋に頼りすぎないよう、体幹全体のバランスを整える運動が有効。
- 個別の代償戦略があるため、一人ひとりの運動パターンを評価し、最適なアプローチを考えることが大切。
要するに!
CLBP患者は「腰を固めすぎている」せいで、「他の筋肉で補っている」状態になっている。これを改善するには、腰の柔軟性を高め、全体の筋バランスを整えることが重要!
今回ご紹介した論文がリハビリ内容を考えていくうえで、1つの方法案として組み込み、より良いリハビリを提供いただければと思います。
兵庫県宝塚市の自費訪問リハビリ整体 リ・サンテとは
自費訪問リハビリ整体リ・サンテは、兵庫県宝塚市にオープンした脳卒中の方や人工関節の手術をされた方、足腰にお悩みを抱えている方を始め様々な方に密着し自費(保険外)での自宅や施設への訪問型のリハビリ整体です。
自宅や施設を訪問し病院で行われるリハビリと整体院で行われる施術の要素を併せ持つ生活に密着した‟業界初の生活圏全般をサポートし生活の質の向上を目的とした”自費リハビリ施設となっています。
リハビリ整体リ・サンテには医療機関で脳卒中後遺症の方や、人工関節の術後、骨折後などの身体を回復させるためのリハビリに従事し、高齢者のフレイル対策や介護予防、転倒予防の研修を受けた理学療法士(国家資格)の資格を持ったスタッフが在籍しています。
ここで培った知識を生かし、自宅や施設を訪問させて頂き、皆さんのお悩み事をを解決するために一人一人の身体の状態を把握し完全個別式のリハビリ&整体サービスを提供しています。
当自費リハビリ整体では単なる『マッサージ』や『筋力トレーニング』だけで終わらず、最新の予防医学をもとに個人個人のお身体に合わせたプログラムを作成し30分~60分間完全マンツーマンで施術させて頂きます。

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