この投稿は、『~兵庫高齢者特化型の介護予防・転倒予防~訪問リハビリ整体リ・サンテ宝塚』が高齢者のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防に興味がある方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればなと思っています。
日本でも問題になっている高齢化社会は、世界人口の中でも大きな割合を占めており、その割合は増加しています。
高齢となると、身体の劣化を経験し、フレイルになるまで機能状態が低下します。フレイルは、「加齢に伴う複数の生理的プロセスおよび機能の低下と定義」され、障害、傷害、多発性疾患、入院、疾病、転倒、死亡などの複数の健康に悪影響を及ぼします。
また、転倒は高齢者にとってよくある問題です。
転倒は、死亡、罹患、高齢者とその家族の苦痛、入院に伴う社会的コストの増加につながる可能性があると言われています。また、高齢者の84.6%における死亡は、他の原因よりも転倒に関連する傷害から生じる可能性が高く、入院の38.19%は転倒による傷害の結果であると言われています。
今回は、「フレイル予備軍高齢者の転倒予防とQOLのための多系統身体運動介入の効果」についてと言うテーマでお送りしていきたいと思っています。
少しでも今後のアプローチ考え方のやの一助になれればと思います。
フレイル予備軍高齢者の転倒予防とQOLのための多系統身体運動介入の効果
本日紹介する論文
研究の目的
●運動不足と栄養失調は、筋力と身体活動の低下をもたらし、これらは筋力、固有感覚、バランス、機能的能力に影響を与え、高齢者の転倒の原因となります。
●転倒の最初の原因は通常、バランス障害であり、次いで筋骨格系、神経系、感覚の劣化が続く。視力は2番目に大きな原因です。
●他の治療法と比較すると、運動は転倒予防の鍵であり、転倒を減らすための運動介入は数多く存在し、「バランスと柔軟性のトレーニング」、「抵抗運動強化プログラム」、「持久力トレーニング」などがあり、いずれも地域在住の高齢者の体力を向上させ転倒を減らすのに効果的であることが示されています 。
●転倒予防を行うことでフレイルを予防し転倒のリスクを減らすことができるため、フレイル前の高齢者に早期に介入して身体能力を向上させることが必要があります。
●多系統身体運動(Multi-system Physical Exercise:MPE)は、高齢者の転倒リスクを減らすための4つの要素、「プロプリオセプショントレーニング」、「筋力トレーニング」、「反応時間運動トレーニング」、「姿勢バランストレーニング」が含まれています。
本研究の目的は、地域在住のプレフレイル高齢者における転倒予防、うつ病、健康関連QOL(HRQOL)に対する多系統身体運動(MPE)の有効性を明らかにすることであった。
対象
参加者は、プライマリーケアセンターの管理記録から特定された高齢者集団から募集し基準を充たした72名の参加者
方法
参加者
●ブロックランダムライゼーションを用いてMPE群(36人)とストレッチ群(36人)に無作為に割り付け。
●介入前と介入後、初期評価と12週目、24週目に、プログラムについて盲検化された研究者によって、すべての評価が行われた。
介入
介入群は、生理学的プロファイル評価(PPA)を用いた転倒リスク評価の構成要素および転倒予防のための運動介入に関する文献に基づいて設計された、多系統身体運動(MPE)プログラムに参加した。
MPEプログラム
●プロプリオセプショントレーニング(固有感覚受容)、筋力トレーニング、聴覚を合図とした反応時間運動トレーニング、姿勢バランストレーニングの4つのパートから構成
●運動指導の経験を持つ理学療法士がトレーニングを行う
●週3日、12週間、合計36セッションを実施
●各トレーニングセッションは60分で、10分のウォームアップから始まり、5分のクールダウンを行い終了
●各運動は3セットで、それぞれ15回繰り返し、参加者は10秒間収縮を維持するよう指示
ストレッチ群
●柔軟体操のトレーニングをプログラムの各週3回ずつ実施
●研究期間中の連続12週間、週に1回研究者と会い、健康体験を共有
主要アウトカム
副次的アウトカム
●転倒の恐怖:Thai Fall Efficacy Scale-International質問票を使用して測定
●うつ病:Thai Geriatric Depression Scale(TGDS)を用いて評価
●健康関連QOL(HRQOL):36項目短形健康調査票(SF-36)タイ語版を用いて評価
結果
転倒リスクスコア
●介入後の12週目と24週目では、MPE群とストレッチ群の転倒リスクスコアに統計的に有意な差があった
●介入12週後、MPE群では低リスクレベルであったのに対し、ストレッチ群の人々は中リスクであることがわかった
●介入24週後には、ストレッチ群では著しいリスクであったが、MPE群では中程度のリスクであることがわかった
●介入後の12週目と24週目では、MPE群とストレッチ群の間で、「プロプリオセプション」、「膝伸展力(kg force)」、「手の反応時間(ms)」、「姿勢動揺(mm2)」に統計的に有意な差が見られた
●エッジコントラスト感度(dB)に対する効果は2群間で有意差がなく、今回のプログラムでは視覚能力トレーニングを行っていないため、介入前と介入後で差がなかった。
転倒恐怖症のスコア
●MPE群とストレッチ群では介入後、12週目と24週目には、両群間で統計的に有意なスコアの減少が見られた
うつ病スコア
●介入後12週目には、両群間でうつ病スコアの減少に統計的に有意な差が見られたが、24週目には、両群間に有意差は見られなかった
●TGDSスコアは、24週間のフォローアップ期間を通して、MPE群、ストレッチ群ともに、すべての参加者に抑うつ症状がないことを示していた
健康関連 QOL(HRQOL)
●MPE群とストレッチ群の初めの評価では、総合的なHRQOLに有意差がみられた。
●12週目には、MPE群とストレッチ群の間で総合的なHRQOLに統計的に有意な差があった。しかし介入後24週目では、両群間に有意差はなかった
●TGDSスコアは、24週間のフォローアップ期間を通して、MPE群、ストレッチ群ともに、すべての参加者に抑うつ症状がないことを示していた
まとめ
今回紹介した研究では、「フレイル予備軍高齢者の転倒予防とQOLのための多系統身体運動介入の効果」についてでした。
多系統生理学的エクササイズ(MPE)は、地域在住のプレフレイルティの高齢者において、「転倒リスクの低減」、「プロプリオセプション、反応時間、バランス、膝伸展筋力の向上」が期待できることが分かりました。
また、転倒予防だけでなく、「転倒恐怖症」、「うつ病の減少」、「QOLの向上」にもつながることが示唆されているため、MPEを行うことで、地域社会の高齢者の転倒予防に有効な選択肢である可能性があります。
プレフレイル予備軍である高齢者などに方に対して、『プロプリオセプショントレーニング(固有感覚受容』、『筋力トレーニング』、『聴覚を合図とした反応時間運動トレーニング』、『姿勢バランストレーニング』の要素を含んだ治療・アプローチが必要となってきます。
皆さんも高齢化社会が進む中で、少しでも高齢者の転倒を防ぎ、一緒に元気な高齢者を増やすことができたらなと思います。
兵庫県宝塚市の訪問リハビリ整体 リ・サンテとは
リハビリ整体リ・サンテは、兵庫県宝塚市にオープンした地域の高齢者を始め様々な方に密着し転倒予防や介護予防を目的とした自宅訪問型のリハビリ整体です。
当整体院では兵庫県宝塚市の高齢者の方を始めとし、介護予防、転倒予防、体のケアを目的に筋力やバランス能力向上、動作指導を行う自費(保険外)の訪問リハビリ整体です。
自宅を訪問させて頂き病院で行われるリハビリと整体院で行われる施術の要素を併せ持つ生活に密着した‟業界初の生活圏全般をサポートする”整体院となっています。
リハビリ整体リ・サンテには医療機関で高齢者の身体を回復させるためのリハビリに従事し、高齢者のフレイル対策や介護予防、転倒予防の研修を受けた理学療法士(国家資格)の資格を持ったスタッフが在籍しています。
ここで培った知識を生かし、高齢者の介護・転倒予防、運動不足解消を目的に自宅を訪問させて頂き、高齢者一人一人の身体の状態を把握し完全個別式のリハビリ&整体サービスを提供しています。
当整体院では単なる『マッサージ』や『筋力トレーニング』だけで終わらず、最新の予防医学をもとに個人個人のお身体に合わせたプログラムを作成し60分間完全マンツーマンで施術させて頂きます。
※お身体の関節や筋肉の状態、バランス能力を数値化し、そのデータは後日グラフを作成しお渡しさせて頂きお身体についてお伝えさせて頂きます。
リハビリ整体リ・サンテで施術ご希望の方はこちら!
リハビリ整体リ・サンテにて施術のご相談やご質問がある方は、お気軽にご連絡ください!
当整体院では様々な方に体験して頂くために‟初回無料体験”を実施しています。
ぜひご興味が御座いましたら、いつでもご相談ください!
コメント