『Hip Up』異なる足関節の状態による体幹及び下肢筋活動の変化について~臨床での使い分けをするための根拠~

この投稿は、『～兵庫自費訪問リハビリ整体リ・サンテ宝塚～』が脳卒中や骨折、人工骨頭の手術後、腰痛のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防に興味がある方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればと思っています。

日々の臨床でHip Up（お尻上げ）と言ったトレーニングを用いることが多々あるかと思います。

難易度調整や目的とした筋肉を鍛えるため、片足でのHip Upやボールを股に挟んだ状態で行ったりと様々な工夫を凝らしているセラピストの方もたくさんいると思います。

その中で足関節の状態（底屈・背屈）を変化させトレーニングを行ったことはありませんか？

また『足関節背屈位でのHip Upは大殿筋がより多く動員され、足関節底屈位でのHip Upはハムストリングスがより多く動員されると聞いたことはありませんか？』

今回ご紹介する論文でその話が正しいのか根拠図けることができます！

今回は、「『Hip Up』異なる足関節の状態による体幹及び下肢筋活動の変化について~臨床での使い分けをするための根拠~」について報告されている論文をご紹介させていただきたいと思います。

『Hip Up』足の位置による筋活動の変化について~臨床での使い分けをするための根拠~

『Hip Up』足の位置による筋活動の変化について~臨床での使い分けをするための根拠~

本日紹介する論文

参考文献

Effects of Ankle Position While Performing One- and Two-Leg Floor Bridging Exercises on Core and Lower Extremity Muscle Recruitment.2024

研究の目的

『リハビリテーションやアスレチックパフォーマンスで使用される一般的な5つのHip Up（両脚支持3項目、片脚支持2項目）を実施する際に、2つの異なる足関節位（背屈 VS 底屈）を利用することが体幹及び下肢筋の筋活動にどのように影響するかを評価すること』

‟仮説”

『大殿筋、大腿四頭筋、腹筋、腹斜筋の筋電図活動は足関節背屈位でHip Upを行うと大きくなる』

方法

対象

年齢層に対して正常または正常以下の体脂肪をもつ健康な成人20名（男性10名、女性10名）

除外基準

全ての評価を無痛、全可動域、適切なフォームで行うことが出来ない者

両脚でのHip Up、片脚でのHip Upを3年以内に実施したことがない者

体脂肪率が正常値を超えている物

エクササイズ内容

※無作為に割り当てられ、各終了位置で5秒間最大随意収縮（MVIC）を2回測定

※MVICの間1分、各運動施行の間2分間休息

筋電図部位

データ処理と解析

Noraxon Myoresearchを用いて処理

1対のT検定を採用し、有意水準はP<0.01

結果

足関節背屈位での片脚Hip Up（股関節屈曲、下肢伸展）において大腿直筋・外側広筋・内側広筋・長内転筋が有意に、また股関節屈曲でのHip Upでは内外腹斜筋の活動が有意に大きかった。

足関節底屈位でのHip Upではハムストリングスの活動が有意に大きかった

まとめ

今回の報告では対象人数が少なかったですが、意外なことに、足関節の影響により大殿筋・中殿筋・大腿筋膜張筋・脊柱起立筋、腹直筋上部の筋活動に大きな差がないとのことでした。

逆に、大腿直筋・外側広筋・内側広筋・長内転筋・内外腹斜筋の筋活動をターゲットにトレーニングを行う際は足関節背屈位での片脚支持でのHip Up、ハムストリングスをターゲットにしたい場合は足関節底屈位でのHip Upを行うことで、より有益なトレーニングを行うことができることが確認できます。

今回 Hip Up での筋活動の結果を臨床に活かし、ご利用者様のお力に役立てていただければと思います。