変形性膝関節症と診断された患者における股関節外転筋の強化-システマティックレビューとメタアナリシス

論文情報

この投稿は、~兵庫自費訪問リハビリ整体リ・サンテ宝塚~』が脳卒中や骨折、人工骨頭の手術後のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防を行っている方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればなと思っています。

変形性関節症(OA)は、全個体の約3分の1が罹患する退行性の局所的な関節疾患であり、その有病率は年齢とともに増加すると言われています。

様々な関節で生じるOAの中でも膝関節は、OAによって最もよく影響を受け主に脛骨大腿関節の内側コンパートメントに影響を及ぼします。

膝関節の圧縮と負荷は、疾患の進行に寄与する可逆的な要因となっています。膝関節内転モーメントによる膝への圧縮力は、関節内側のコンパートメントにかかり、疾患の重症度や痛みの強さと関連するといわれており、一般的には大腿四頭筋の筋力低下が発症の一因とされています。

また、膝関節症患者では、股関節外転筋が弱く遊脚肢の骨盤の落ち込みを引き起こし、重心線が立脚膝から離れるように変化すると、内側関節圧縮力と膝内転モーメントが増加し、進行が悪化するとも言われています。

変形性膝関節症患者における様々な種類のエクササイズの有効性に関する文献は沢山発表されています。しかし変形性膝関節症における股関節外転筋強化の影響、効果、重要性をまとめて記述した発表が2022年にされました。

そこで

今回は、「変形性膝関節症と診断された患者における股関節外転筋の強化-システマティックレビューとメタアナリシス」についてと言うテーマでお送りしていきたいと思っています。

変形性膝関節症と診断された患者における股関節外転筋の強化-システマティックレビューとメタアナリシス

本日紹介する論文

参考文献

Hip abductor strengthening in patients diagnosed with knee osteoarthritis – a systematic review and meta-analysis.2022

研究の目的

本研究の目的は

膝関節OAを持つ被験者の膝痛、機能的アウトカム、膝関節負荷に対する股関節外転筋強化の効果に関する既存のエビデンスを特定し検討すること

対象

このシステマティックレビューとメタ分析は、2021年6月20日にPROSPEROに登録されPRISMA(Preferred reporting items for systematic reviews and Meta-Analyses)ガイドラインに基づき、レビュープロトコルとシステマティックレビューの報告が行われた。

検索方法

  • PubMed、Scopus、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)データベース、Physiotherapy Evidence Database(Pedro)、Experta Medicaデータベース(EMBASE)
  • 膝OAの被験者に対する股関節外転筋トレーニングの効率を確立した論文
  • 英語で書かれたもの
  • 創刊から2020年12月までに発表された論文がレビューの対象

対象基準

介入-股関節外転筋の強化運動が、疼痛、膝関節負荷、機能的アウトカムに対して、下肢の他の運動または無治療と比較した無作為化対照試験(RCT)

除外基準

  • 学会抄録、症例報告、観察研究、臨床解説
  • 股関節を強化するエクササイズを一般化した研究
  • 全身性関節炎、脛骨骨切り術、股関節または膝関節置換術、その他下肢に影響を及ぼす可能性のある筋疾患や神経疾患などの疾患を含む
  • PEDroスケールで6点未満の研究は、メタ解析の対象外

方法

  • すべての研究で、セラバンドまたはウェイトカフを使用したエクササイズが行われた。
    • 監視付きでの側臥位での股関節外転、骨盤持ち上げトレーニング
    • 8~20回を2~3セット
    • 1反復最大または10反復最大の50~80%
    • 週に3~5回
    • 運動療法は6週間から3ヶ月間継続
    • セット間の休息1分

アウトカム

  • Visual Analogue Scale(VAS)
  • Numerical Pain Rating Scale(NPRS)
  • 自己申告による身体機能
  • Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score(KOOS)
  • Western Ontario and McMaster Universities(WOMAC)
  • Short Form-36(SF-36)によるQOL
  • 身体機能テスト
  • 内側関節荷重
  • メタアナリシスは、痛み(VAS)と機能的アウトカム(WOMAC fucntion)について実施

結果

データ分析結果

  • 260件の検索結果から184件の論文のうち、29件のフルテキスト論文をレビューし、PEDroスコアで7件のRCTが選ばれた
  • サンプルの規模は、30人から97人
  • 研究はKellgren LawrenceのグレードII以上

評価結果

分析された均一なアウトカムは、VASスコアとWOMACスコアであった。

  • VAS
    • 異質性[I2]は9%であった(p < 0.0001)。平均差は-0.60で、介入群と対照群では[(95%信頼区間) – 0.88 to – 0.33]
  • WOMAC
    • 異質性[I2]は17%(p < 0.0001)
  • 平均差は、対照群に対する介入群で-0.75[(95%信頼区間-1.05~-0.45)]
  • コクランハンドブックによる異質性は40%以下
  • 膝内転モーメントの変化には群間で有意差はなかった

まとめ

今回ご紹介させていただいた研究では、股関節外転筋を鍛えることで、膝関節内転モーメントの変化には有意差はありません

しかし、VASでの痛みの軽減WOMACや身体的パフォーマンスを改善し、全体的な幸福感を与えることで、膝の不快感の緩和は認めたと報告されています。

このことから股関節内転モーメントは膝関節の痛みには大きな影響がなく、他の問題があるように思います。

※エビデンスや方法論だけにとらわれず、しっかり患者様を評価しエビデンス情報を交えリハビリを進めて頂きたいと思っています。

兵庫県宝塚市の訪問自費リハビリ整体 リ・サンテとは

訪問自費リハビリ整体リ・サンテは、兵庫県宝塚市にオープンした脳卒中の方や人工関節の手術をされた方、足腰にお悩みを抱えている方を始め様々な方に密着し自宅訪問型のリハビリ整体です。

訪問自費リハビリ整体の特徴は

自宅を訪問させて頂き病院で行われるリハビリと整体院で行われる施術の要素を併せ持つ生活に密着した業界初の生活圏全般をサポートする”整体院となっています。

リハビリ整体リ・サンテには医療機関で脳卒中後のリハビリや、人工関節の術後、骨折後などの身体を回復させるためのリハビリに従事し、高齢者のフレイル対策介護予防転倒予防の研修を受けた理学療法士(国家資格)の資格を持ったスタッフが在籍しています。

ここで培った知識を生かし、自宅を訪問させて頂き、皆さんのお悩み事をを解決するために一人一人の身体の状態を把握し完全個別式のリハビリ&整体サービスを提供しています。

当整体院では単なる『マッサージ』や『筋力トレーニング』だけで終わらず、最新の予防医学をもとに個人個人のお身体に合わせたプログラムを作成し60分間完全マンツーマンで施術させて頂きます。

※お身体の関節筋肉の状態、バランス能力数値化し、そのデータは後日グラフを作成しお渡しさせて頂きお身体についてお伝えさせて頂きます。

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