感覚システムの再重み付けの不十分さと慢性脳卒中における歩行障害の重症度との関連性について

論文情報

この投稿は、~兵庫自費訪問リハビリ整体リ・サンテ宝塚~』が脳卒中や骨折、人工骨頭の手術後、腰痛のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防に興味がある方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればと思っています。

歩行障害と平衡障害は脳卒中の後遺症としてよくみられるもので、機能的自立、罹患率、死亡率に大きな影響を及ぼします。

また歩行動作には十分な姿勢安定性が必要であり、そのためには視覚体性感覚前庭中枢間の感覚情報の十分な統合が必要であると言われています。

しかし、脳卒中の慢性期において感覚の重みづけがどの程度姿勢の安定性を維持できるのか、また歩行機能にどのような影響を及ぼす可能性があるのかについては、まだ十分な研究がなされていないようです。

そこで今回は、「感覚システムの再重み付けの不十分さと慢性脳卒中における歩行障害の重症度との関連性」について報告されている論文をご紹介させていただきたいと思います。

感覚的再重量化

視覚や体性感覚情報が十分でない場合に姿勢の安定性を維持するために必要な正常な生理的反応であり、脳卒中後の姿勢の安定性を維持する上で重要な役割を果たすと考えられています。

感覚システムの再重み付けの不十分さと慢性脳卒中における歩行障害の重症度との関連性

本日紹介する論文

参考文献

Insufficiencies in sensory systems reweighting is associated with walking impairment severity in chronic stroke: an observational cohort study.2023

研究の目的

(1)慢性脳卒中生存者(脳卒中後6ヵ月以上)のコホートにおける感覚的再荷重の特徴を明らかにすること

(2)姿勢安定性と歩行速度の関係を明らかにすること 

方法

コホート研究

対象

対象

 ・地域在住で歩行可能な慢性脳卒中生存者58名

・平均年齢56.9±8.79歳で、そのうち女性が29名

・全員が介助なし(装具の有無にかかわらず)または歩行補助具(杖、四点杖)を使用し自立して歩行できている人

・脳梗塞39名、脳出出血19名

・脳卒中からの期間は平均44.0±51.8カ月

除外基準

 ・ 中等度~高強度の運動参加を妨げる不安定な心血管状態の方

・脳卒中以外で歩行状況に影響を与える疾患を患っている方

・重度の痙縮(修正アシュワーススケール2/4以上)の方

・検査中の指示に従う能力を妨げる可能性のある方

介入方法とアウトカム

修正版臨床感覚相互作用バランス検査(mCTSIB)

→条件1 開眼+固定支持面

→条件2 閉眼+固定支持面

→条件3 開眼+フォーム面

→条件4 閉眼+フォーム面 

の条件下で動揺速度指数を用いて重心動揺速度の平均速度(SVI)を出す

※値が高いほど不安定が高いことが示される

10m歩行

→できるだけ早く歩いた時の歩行速度(SS)

→通常歩行速度(FP)

→歩行加速力(通常歩行速度-できるだけ早く歩いた時の歩行速度)

歩行時空対称性

Protokinetics Zenon TM歩行路歩行分析システムを用いて10m歩行中の平均下肢片脚支持時間と歩幅の対称性を収集

比較

●健常者の標準データ

●mCTSIBの全4条件を完了できた方(完了者)と、1つ以上の条件を完了できなかった方(未完了者)

※「未完了者」は、mCTSIBの1つ以上の条件において、過度のバランス喪失(すなわち、転倒)のために直ちに中止または停止する必要があった参加者、または転倒を避けるために緊急にサイドレールをつかんだ場合に指定

結果

mCTSIBでは、慢性脳卒中生存者は4つの条件すべてにおいて、健常者の標準データと比較して有意に高いSVIを示した。

慢性脳卒中生存者では、静止立位時の姿勢安定性の維持に、視覚、体性感覚、前庭感覚のすべてが重要な役割を果たしていることを示唆している。


また、mCTSIBの1つ以上の条件を完了できなかった参加者(未完了者)は、完了者と比較して、SS歩行速度が有意に遅く(0.23±0.12 m/s vs. 0.73±0.27 m/s、p<0.0001)。FP歩行速度も有意に遅い(0.29±0.17 m/s vs. 1.06±0.43 m/s、p<0.0001)ことがわかった。

さらに、未完了者は、SS歩行時とFP歩行時の両方で、完了者よりも有意に大きな歩行時空間非対称性を示した。

これらの結果は、感覚系再重み付け能力の低下が、慢性脳卒中生存者の歩行能力の低下と関連していることを示唆している。

まとめ

今回お伝えした論文では、この研究は、前庭機能の詳細な評価や歩行不能な脳卒中患者の方との比較を行っておらず、また、コホート研究のため因果関係の証明はすることはできませんが、、

慢性脳卒中患者における感覚システムの再重み付けの不十分さが歩行機能に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆しています。

さらなる研究も必要でありますが、リハビリ内での際感覚情報の重みづけを意識する必要は高いと考えます。

今回ご紹介した論文がリハビリ内容を考えていくうえで、1つの方法案として組み込み、脳卒中患者の方の歩行状態を良くしていただければと思います。

兵庫県宝塚市の自費訪問リハビリ整体 リ・サンテとは

自費訪問リハビリ整体リ・サンテは、兵庫県宝塚市にオープンした脳卒中の方や人工関節の手術をされた方、足腰にお悩みを抱えている方を始め様々な方に密着し自費(保険外)での自宅や施設への訪問型のリハビリ整体です。

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自宅や施設を訪問し病院で行われるリハビリと整体院で行われる施術の要素を併せ持つ生活に密着した業界初の生活圏全般をサポートし生活の質の向上を目的とした”自費リハビリ施設となっています。

リハビリ整体リ・サンテには医療機関で脳卒中後遺症の方や、人工関節の術後、骨折後などの身体を回復させるためのリハビリに従事し、高齢者のフレイル対策や介護予防、転倒予防の研修を受けた理学療法士(国家資格)の資格を持ったスタッフが在籍しています。

ここで培った知識を生かし、自宅や施設を訪問させて頂き、皆さんのお悩み事をを解決するために一人一人の身体の状態を把握し完全個別式のリハビリ&整体サービスを提供しています。

当自費リハビリ整体では単なる『マッサージ』や『筋力トレーニング』だけで終わらず、最新の予防医学をもとに個人個人のお身体に合わせたプログラムを作成し30分~60分間完全マンツーマンで施術させて頂きます。

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