安定した路面と不安定な路面での運動中の筋電図活動の比較『系統的レビューとメタ分析』

この投稿は、『～兵庫自費訪問リハビリ整体リ・サンテ宝塚～』が脳卒中や骨折、人工骨頭の手術後、腰痛のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、高齢者の転倒・介護予防に興味がある方に向けエビデンス情報を発信します。少しでも皆様のお役に立てればと思っています。

皆さん、バランスボードやバランスクッションなどを使い、接地面が不安定な環境でのリハビリを行なうことは多いと思います。

実際に僕も不安定な環境下でのトレーニングを良く用いています！

この時、『固有感覚や姿勢反射、反応的姿勢制御』など様々な効果を期待し頭を悩ませ考えながら行っていると思います。

そこで今回は、「安定した路面と不安定な路面での運動中の筋電図活動の比較」について報告されている論文をご紹介させていただきたいと思います。

安定した路面と不安定な路面での運動中の筋電図活動の比較『系統的レビューとメタ分析』

安定した路面と不安定な路面での運動中の筋電図活動の比較『系統的レビューとメタ分析』

本日紹介する論文

参考文献

Comparison of the Electromyography Activity during Exercises with Stable and Unstable Surfaces: A Systematic Review and Meta-Analysis.2024

研究の目的

『安定した路面と、不安定な路面で実施されるエクササイズ間の筋活動に関する論文を系統的にレビューしメタ分析を行うこと』

方法

データ収集

補足オンライン資料S1に詳述されているPICOSアプローチに基づき、2024年3月にPubMed、Web of Science、Scopus、Cochrane Library、Scielo、Lilacsの各データベースで検索

加えて、類似のシステマティックレビューと含まれる研究の参考文献リストを手動で検索

対象

【対象】

→不安定器具を使用したエクササイズの経験がある男女のアスリートおよび非アスリートの成人

【介入】

→不安定面を使用した上肢、下肢、または体幹/体幹のエクササイズ

【比較対象】

→安定した状態で実施された同じエクササイズ

【アウトカム・研究の種類】

→不安定な面を使用した場合と使用しない場合の運動中の筋電図活動を比較した横断的研究

除外基準

・全文が英語で公開されていない研究

・科学雑誌に掲載されていない研究

・神経疾患（パーキンソン病など）を有する参加者

データ分析

メタ分析を行い、各研究のデータを統合して前夜井的な効果を評価

結果

合計86件の研究が用いられる

🔴『女性494人、男性1289人。平均年齢は24.0歳、体重は72.5kg、身長は1.74m』

🔴大胸筋(SMD=0.28 [95% CI 0.09, 0.47])と上腕三頭筋(SMD=0.45 [95% CI 0.25, 0.66])のEMG活動は、不安定な器具をエクササイズに加えると有意に増加

🔴腹直筋（SMD=0.51 [95% CI 0.37, 0.66]）、外腹斜筋（SMD=0.45 [95% CI 0.25,0.66]）、上腕三頭筋（SMD=0.45 [95% CI 0.25,0.66]）など、すべての体幹筋のEMG活動〚外腹斜筋（SMD=0.44 [95% CI 0.28, 0.61]）、内腹斜筋（SMD=1.04 [95% CI 0.02, 2.07]）、脊柱起立筋（SMD=0.37 [95% CI 0.04, 0.71]）、腰部多裂筋（SMD=0.35 [95% CI 0.08, 0.61]）〛は、エクササイズ中に不安定な表面を使用することで有意に増加

🔴下肢筋は、不安定な路面での運動中、安定した路面と比較して、より大きなEMG活動を示さなかった